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ゆらめく闇のアジト ゆらめく闇のアジト 地図名 Lv 地形 宝タイプ 敵ランク 最下層 ボス Rank値 Seed値 備考 141559 ゆらめく闇のアジト 35 遺跡 51 141560 ゆらめく闇のアジト 141561 ゆらめく闇のアジト 141562 ゆらめく闇のアジト 141563 ゆらめく闇のアジト 141564 ゆらめく闇のアジト 141565 ゆらめく闇のアジト 141566 ゆらめく闇のアジト 141567 ゆらめく闇のアジト 141568 ゆらめく闇のアジト 141569 ゆらめく闇のアジト 141570 ゆらめく闇のアジト 141571 ゆらめく闇のアジト 141572 ゆらめく闇のアジト 141573 ゆらめく闇のアジト 141574 ゆらめく闇のアジト 141575 ゆらめく闇のアジト 141576 ゆらめく闇のアジト 141577 ゆらめく闇のアジト 141578 ゆらめく闇のアジト 141579 ゆらめく闇のアジト 141580 ゆらめく闇のアジト 141581 ゆらめく闇のアジト 141582 ゆらめく闇のアジト 141583 ゆらめく闇のアジト 141584 ゆらめく闇のアジト 141585 ゆらめく闇のアジト 141586 ゆらめく闇のアジト 141587 ゆらめく闇のアジト 141588 ゆらめく闇のアジト 141589 ゆらめく闇のアジト 141590 ゆらめく闇のアジト 141591 ゆらめく闇のアジト 141592 ゆらめく闇のアジト 141593 ゆらめく闇のアジト 141594 ゆらめく闇のアジト 141595 ゆらめく闇のアジト 141596 ゆらめく闇のアジト 141597 ゆらめく闇のアジト 141598 ゆらめく闇のアジト 141599 ゆらめく闇のアジト 61 遺跡 79
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ギャバン専用ボルジャーノン (∀ガンダム) コスト:270 耐久力:450 見た目は旧ザクだが、性能はボルジャーノンと比べて特に劣るわけではない。 むしろ格闘性能がアップしている。 メイン射撃その1【ボルジャーノン・マシンガン】 弾数:120 リロード:7秒(打ち切り式) 弾数が豊富なマシンガン。 性能はザクマシンガンと同等。 メイン射撃その2【ボルジャーノン・バズーカ】 弾数:12 リロード:6秒(打ち切り式) いわゆるザクバズーカ。 性能もほぼ同じ。 サブ射撃【連射】 弾数:メインと共有 メイン武器を連射する。 バズーカなら2連射、マシンガンならバーストショットする。 隙は大きくなるが集中的にダメージを与えられる。 特殊射撃【クラッカー】 弾数:4 リロード:4秒(打ち切り式) ザクのクラッカーと同じ。 使いにくいところも同じ。 格闘【ヒートホーク】 通常:3回斬りつける。 前:大きく振りかぶって2回斬りつける。 横:回転2連斬り。 特殊:ジャンピング斬り。
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ステータスの合計別の一覧です。 A~Eがそれぞれ50~10に対応し、宝具を含み、+,と-は無視、EXは特記が無い限り100,既出、666や∞などあまりにも過大な場合も同様に扱っています。 (クラス格差、EXの補正が大きいので一概には言えませんが)傾向として著名/強力(?)な英雄は200~のラインに居るようです。 公式だと230にブラダマンテ、イアソン、フィン・マックール、カイニス、項羽、ヒッポリュテ、フェルグス・マック・ロイ、 240に酒呑童子、源頼光、始皇帝、卑弥呼、モードレッド、ジャンヌ・オルタ、ペンテシレイア、アキレウス、マンドリカルド、ディオスクロイ、牛若丸、ニコラ・テスラ、アビゲイル・ウィリアムズ、メイヴ、スカサハ、クー・フーリン・オルタ、シュヴァリエ・デオン、アルトリア(リリィ)、オリオン 250にベオウルフ、ベディヴィエール、ゴルゴーン、カール大帝、呂布、ヘクトール、フランシス・ドレイク、ケイローン、ランスロット(セイバー)、アルトリア(ランサーオルタ)、 260に哪吒、ジャンヌ、ラーマ、ロムルス、クリストファー・コロンブス、 270にガウェイン、ランスロット(バーサーカー)、アルトリア(ランサー)、玄奘三蔵、マルタ(ルーラー)、ギルガメッシュ(キャスター)、シャルルマーニュ、 280がアルテラ、カルナ、アルケイデス、アルトリア、アシュヴァッターマン、赤兎馬、ブッダ、鈴鹿御前、オデュッセウス、坂本龍馬、 290にヘラクレス、鬼一法眼、マルタ、300にオジマンディアス、 320にアーサー、アルジュナ、ギルガメッシュ、超人オリオン、織田信長(宝具をEXとして)なんかがいます。(合計値が一番大きいパラメータで計算しています) 400に豊臣秀吉(コハエース)。 380 ティラノサウルス・レックス・スー 370 仏舎利 360 アイスキュロス 350 イスラエル ティラノサウルス・レックス 340 - 330 ローラン(ポルナレフ) 320 アイヌラックル クヌム・クフ・ウイ 黄帝/公孫軒轅 310 ニムロド(弓) 300 ステータス平均A相当。 イムホテプ ストイシャ ミュンヒハウゼン男爵 モーセ 290 プラトン ヤマトタケルノミコト(Apocalypse) ロウヒ(サンタ) 大和武尊 緑の騎士 280 インドラジット ウトナピシュティム シャンゴ ティアマト(怪物) ハヌマーン パンドラ 浦島太郎 聖徳太子(騎) 270 タロス ディートリッヒ・フォン・ベルン ドゥクパ・キンレイ ヘルメス・トリスメギストス マウイ 吉備津彦命(桃太郎) 孫悟空 羿(Apocalypse) 聖ウリエル 260 ガバンダ ジャックフロスト(術) ナルメル バルバトス パラシュラーマ パーシヴァル ヒュドラ メネス ヴォーティガーン(仮) 平将門 日本武尊 細川忠興(天下分目前哨) 聖エクスペダイト 250 アメノウズメ エクター・ド・マリス カイン クンバカルナ(狂) テセウス ブリュンヒルデ・リリィ ヘルヴォール メイヴ ユルバン・グランディエ(復) ローラン ワイナミョイネン 孫武 聖徳太子(剣) 聖徳太子(狂) 項燕 香香背男(カガセオ) 馬超孟起 240 ステータス平均B相当。 アイヌラックル(魔) アウトリュコス アンタイオス アンブロシウス エドワード3世 エードワッド(円卓再臨) オセ オーリーオーン ガイセリック(騎) スカサハ ゼノビア チャク・ムムル・アイン ディオメデス ヘラクレス ベイリン(弓) ルイ14世 ヴァス ヴィテゲ ヴィヴィアン 伍子胥 倭建命 四狗ジェベ 大月源 曹操孟徳 田単 范蠡(TS) 藤原利仁 豊臣秀吉 230 いたいのいたいのとんでけ ウィリアム・マーシャル エル・シッド(騎) オイフェ カルナ(騎) コンスタンティヌス ジョン失地王 テイレシアス ドラガシス・パレオロゴス(TS) ネロ・クラウディウス(狂) ハドリアヌス(TS) バトラズ ベイラン ベンディゲイドブラン マグニ ヤマタノオロチ ローエングリン 四狗スブタイ 林冲(狂) 楽毅 橋姫 源頼政(復) 猪八戒 聖徳太子(槍) 豊臣秀吉(槍) 220 アルティン・アリーグ エドワード黒太子 クドラク コンモドゥス(弓) ジャラールッディーン・メングベルディー ジュリアス・シーザー テュポーン バヤズィト1世 ファリードゥーン ベイリン(槍) メレアグロス リンドヴルム レプロブス 伊達政宗 竜吉公主[サンタ] 勾践 吉備津彦命 呉王夫差 小碓命 海の民 熊襲建 立花道雪 道場法師 養由基(B) 210 UFO アグリッパ アコロン エリザベス一世 エルナン・コルテス(弓) オルヴァル・オッドル グナエウス・ポンペイウス ケイ シャムハト ジュリアス・シーザー(魔) ジルニトラ スパルタクス スベエディ ダヴィンチちゃん(男) デルピュネー トラヤヌス ドン・ファン・デ・アウストリア ハリケーン・カトリーナ バインナウン フェルニゲシュ ヘンギスト ベオウルフ ベーラム(孤) ムーラン(花木蘭) ヨナルデパズトリ リュカオーン ロームルス 伊達政宗 天津麻羅(アマツマラ) 孔甲 張遼文遠 手塚治虫 温羅 秦の昭王 竜吉公主 聖コルンバ 聖徳太子(TS) 聖徳太子(弓) 藤原 成通 越王勾践 足利義輝 足利義輝(天下分目前哨) 鄧艾士載 高梨 黒姫 200 アウィツォトル アピシウス アリル・マク・マータ エンヘドゥアンナ オルフェウス カラカラ(弓) グリム=リーパー シャムハト(騎) スカサハ(魔) スキールニル セドナ(魔) セバスティアーナ テミストクレス デカラビア トバルカイン ネッシー ハイヌウェレ ヒルデブラント ファフニール フィン・マックール フランシスコ・ザビエル ブラダマンテ ヘリオガバルス(狂) ベイリン ボーディダルマ ボードワン4世 マルク王 リュキアのキマイラ ワイルド・ハンツマン 侯景 夏侯惇 寺生まれのTさん 山金造波文蛭巻大太刀 岳飛(槍) 崇徳上皇 明智光秀 松林蝙也斎 林冲 楊広 源義経 源頼朝 白骨夫人 秦良玉 聖オリガ 藤原景清 養由基 黒河内伝五郎 190 おしらさま へグニ(ホグニ) オデュッセウス カメハメハ一世 クロイソス ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン シモ・ハユハ ディルムッド・オディナ(剣) ナポレオン・ボナパルト(2) ハサン・サッバーハ(呪) ハンニバル・バルカ(弓) パエトーン パルテニアス フランソワ・マッカンダル ヘリオガバルス マルクス・フリウス・カミルス ヤニバス レギオン(殺) レッドライダー 上杉景勝 卑弥呼 口裂女 可児才蔵 名も無き狂信者 姜維伯約 役小角 方相氏 李逵 東郷重位 松永久秀(剣) 武田信玄 渡辺綱 源為朝 甲斐姫 薄田 隼人 逢蒙(弓) 鉄棒ぬらぬら 項籍羽 180 ステータス平均C相当。 アヘン アルセーヌ・ルパン アルバート・フィッシュ アンティオコス4世エピファネス イクナートン ウィンチェスター・ミステリーハウス エド・ゲイン エーリッヒ・フォン・マンシュタイン カラカラ キルケー クルースニク(A) ジョナサン・ワイルド ステファン・ウロシュ四世ドゥシャン ティルタマス パイア(狂) パイア(騎) ヒュパティア ピサール フニャディ・マーチャーシュ フルカネルリ ベナンダンテ ポル・ポト ポンティオ・ピラト マシュー・ホプキンス ユーウェイン ルドルフ2世 ルネ・デカルト(剣) ロビンフッド(暗) ローラン・グーヴィオン・サン=シール 斎藤道三 最上義光 朝倉義景 李徴 松本備前守紀政元 森長可 紅孩児 雑賀孫市/鈴木重兼 高長恭 高長恭(騎) 170 アイアンメイデン アレクサンドロス(P) アンナ・イヴァノヴナ イブン・ハルドゥーン イペタム イヴァン4世(狂) オリバー・クロムウェル カリアッハベーラ ギーノ・ディ・タッコ クライトーン クリスティーナ グノウェー ケユクス サッフォー シャナ ジェベ ツタンカーメン ドミティアヌス ナハツェーラー ナーサリー・ライム(ポケットモンスター) バジリスク ヒッポリュテ フェンリル フリードリヒ大王 ブーディカ ヘリオガバルス(魔) ベリサリウス ミケランジェロ・ブオナローティ ルネ・デカルト ロウヒ ロビン・フッド(結界) ヴァン・ヘルシング 典韋 加藤清正 四狗ジェルメ 文醜 服部半蔵 望月千代女(魔) 沙悟浄 源頼政 無銘(王妃) 真田信繁 織姫 舩坂弘 鎮西八郎為朝 鳥山石燕(佐野豊房) 160 アラクネ アレクサンドル・スヴォーロフ アンドレ・マッセナ アン・ボニー イリヤー・ムーロメツ ウェンディゴ ガレス ギヨティーヌ ジョゼフィーヌ・ド・ボーアルネ ソニー・ビーン ナイチンゲール ニコラ・テスラ ハサン・サッバーハ(偽) ハーマン パラス・アテーナー ビリー ・ ザ ・ キッド フランツ・ナーダジュディ ブラム・ストーカー プシュケー プロクリス ペロプス メッサリナ メランポス(こいぬ座) リチャード・フランシス・バートン 八百屋お七 劉伯温(劉基) 吉田東伍 晏嬰平仲 毛利元就(暗) 永倉新八 清姫 無名(アノニマス) 甘寧興覇 秦檜 細川忠興 隙間女 雑賀孫市 150 アガサ・クリスティ アヒンサ アミネ アンクル・サム サラ・パーディ・ウィンチェスター シャルル=アンリ・サンソン(剣) シンデレラ ジェロニモ ジャン・シャステル セドナ ダユー チェーザレ・ボルジア チクタクマン ドラゴンメイド ナハツェーラー(教会) ブギーマン ポセイドニオス ポンパドゥール夫人(弓) マザー・シプトン マリア・ホル マリー・ド・レェ モスマン リュカオーン(TS) ルイス・キャロル 壱与 白い手のイゾルデ 百目鬼 細川ガラシャ 聖徳太子(魔) 長曽禰興里 鵺 140 アマルテイア アンネリーゼ・ミシェル(狂) オイディプス ジュリアン ダゴネット ハイルブロンの怪人(B) ハトシェプスト ハム レギン 商鞅 天探女 白馬の王子様 細川政元 親指姫 130 エミリア・プラテル カタリナ キティ(アンネの日記) ティリー伯ヨハン・セルクラエス ナポレオン・ボナパルト ハサン・サッバーハ(飛) バジル・ザハロフ ペトルス・バルトロメオ ポンパドゥール夫人 モルジアナ ヤコブ・ヨハン・アンカーストレム ヨハン・ライヒハート 佐々木小次郎(呪) 佐々木小次郎(網) 屠竜之技 松永久秀 駒姫 120 ステータス平均D相当。 アルブレヒト・フォン・ヴァレンシュタイン サラ・ウィンチェスター ジャック・チャーチル(弓) スレナス プトレマイオス十五世 マーサ・ジェーン・カナリー(銃) 与謝野晶子 110 シノペのディオゲネス ニコラ・テスラ(偽) ネフシュタン ハサン・サッバーハ(獣) バラバ 曲亭馬琴 紀昌(甘蠅) 鉄仮面の男 100 エドワード・ヒックス スワンプマン ハイルブロンの怪人 羽柴秀吉(騎) 90 ガヴリロ・プリンツィプ サブヒロインの思念 ジョン・ジョージ・ヘイグ スミルトコ ドッペルゲンガー ニルス・オーラヴ フランソワ・デュヴァリエ マリー・アントワネット(魔) 佐々木小次郎(速) 東京ローズ 猿夢 80 アンティキティラ島の機械 ホープ・ダイヤモンド 張飛益徳 70 マクシミリアン・ロベスピエール 60 ウィルオウィスプ ハワード・フィリップス・ラブクラフト 50 真理谷円四郎 40 - 30 ブロッケンの怪物 20 - 10 - 0 -
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678 :おゆき ◆7d8WMfyWTA [sage] :2011/09/29(木) 06 33 35.59 ID hiGtwjwo (2/12) 三条家でその事件が起こったのは十年前の秋だった。 三条家の当主である三条英一は実の娘を大変可愛がっており、毎年秋の休日に親戚を招いた盛大な誕生会を開いていた。 その年は十月の第三日曜日に誕生会を行い、宴席には親戚の女たちの振る舞った豪華な料理が並んだ。 そして、その料理を食べた者たちのうち六名――三条英一の祖父母と妻子の四名と親戚の男性二名が死亡することとなった。 当時の調査の結果、料理の材料とされた山菜やキノコの中に、強い毒性のあるものが含まれていたことが判明した。 地方有数の資産家の家で起きたことから、この事件は様々な憶測を呼んだが、三条家では日常的に敷地内で採れる野草を料理の材料として使っていたことから、あくまでただの事故として処理された。 一日で家族を全員失うこととなった英一は、その後しばらく家に閉じこもることになる。 気が触れてしまったのだという噂も囁かれたが、やがて分家出身の三条望と再婚し、亡くなった娘と似た年齢の優を養子として迎えて仕事にも復帰した。 以来彼は事業を着々と拡大し、三条家の地位を更に確固たるものとしていった。 「……ということで、彼はこの辺りだと名士として知られているわけだよね。三年に一度くらいのペースで新しく女の子を養子にとっていたものだから、 連続女児殺害事件の煽りを食って警察がお邪魔しちゃったけど。仕事関係では立派な人物みたいだよ」 トントンと書類の端を机で整えながら、切子はそこに書かれた内容を千鶴子と文雄と優の三人に伝えた。 放課後の、傾きかけた日の穏やかな光に照らされる海辺のカフェテラス。 丸テーブルを囲んで座る四人の間を、春の終わりの暖かな風が通り抜けた。 「はぁ……」 切子の話が終わると同時に千鶴子はテーブルに肘をつき、額に手を当てて深々とため息をつく。 あからさまに落ち込んだ様子だった。 「あ、あれ? 説明が下手だった? わかりにくかったかしら?」 「いえ、大変わかりやすかったです。角間さん、ありがとうございました」 慌てた様子の切子に、千鶴子は静かに礼を言った。 「というか、大丈夫なんですか? 警察の資料を私たちのような一般人に明かしてしまって」 「大丈夫な情報しか明かしてはいないよ。今話したことは、時間さえかければ当時の記事やインターネットから拾える内容だから」 「あら、意外とちゃんとしてるんですね」 「そう見える? 照れちゃうなぁ」 嬉しそうに笑う切子とは対照的に、千鶴子はいつもの無表情のまま再びため息をつく。 文雄と優が心配そうにその顔をのぞき込んでいた。 「優さん、これまでに風邪などの病気を患ったことはあるかしら?」 「それは……ありますけれど」 「その時のお父様の対応で、過剰に思ったことは?」 「過剰ということはないですね。総合医療センターに行って、二週間ほど検査入院をしてお終いですから」 にこりと笑う優。 「過剰ね」 「過剰だね」 「過剰だよ」 千鶴子と切子と文雄の声が重なった。 679 :ノスタルジア 第6話 ◆7d8WMfyWTA [sage] :2011/09/29(木) 06 34 47.37 ID hiGtwjwo (3/12) 「過剰ですか? 幼いうちは当然なのでは?」 「幼いうちということは、このところは検査入院はしていない、と」 きょとんとする優に、千鶴子がさらに問いかける。 文雄と切子は興味深そうにその様子を見ていた。 「そうですね。中学校にあがった頃から、検査入院はしなくなりました」 「下の妹さんは、今も検査入院を受けることがあるわけね」 「体調を崩した時だけですけれど」 「そう……」 千鶴子は文雄を見た。 「文雄さん、悪い予感が的中してしまったわね」 「ええと、お前が言った通り、事故は毒物の関わるものだったわけだな」 「検査入院は、個人でできる毒物への対処としては最善のものでしょうね。原因を特定できなくとも、日常の環境から隔離して体調の改善を見ることで、普段の生活の中に原因があるか否かを判断できるわ」 あの、と二人の会話に優が遠慮がちに入りこんだ。 「よくわからないんですけれど、つまりどういうことなんでしょう」 「つまりね、優さん。あなたはお父様に肉の壁にされていたということよ」 千鶴子は何の遠慮もなく優にそう告げると、先日文雄に話したのと同じ推理を話して聞かせた。 三条英一が十年前の事故を、何者かが毒を盛ったのだと疑っているということ。 幼い子供を自分の生活の傍に置くことで、経皮毒や経口毒への毒見役としていること。 そして、ある程度体重が増えて毒への過敏性が薄らぐと、新たに養子をとっているということ。 「あくまで私の推論に過ぎないと思っていたけれど、今あなたに聞いた話と合わせるとそれなりに可能性は高そうね」 「そんな……父が……」 「正確な動機は謎ね。純粋に自らを守っているのか、犯人の接触にすぐに気付けるようにして復讐の機会を窺っているのか。いずれにせよ、あなたたちは使い捨ての命だったということよ」 「そんな……」 顔面蒼白になりながら、優は切子に問いかけた。 「角間さん、その十年前の事件は、あくまで事故だったんですよね?」 「報告書だとそうなってるね」 「なら、その報告書を父に見せれば、父も納得して……」 「捜査結果そのものは当時伝えてあるから、三条氏には見せても無駄だと思うよ」 ねえ、と切子が千鶴子を見た。 「そうね。これはあくまであなたのお父様の心の問題に過ぎないわ。実際に事故だったのか事件だったのかは関係ない。お父様が何を信じるかが全てなのよ」 「そう……ですか」 沈黙が降りる。 静かな波の音が堤防の向こうから響いてきた。 「それじゃ、私は帰るね」 「……ありがとうございました」 時計を見て席を立つ切子に、千鶴子が丁寧に礼をした。 「お忙しいところすみませんでした。今後こういったことは無いようにしますので」 「そんなにかしこまらないで。私もすごく楽しかったから、是非またどうぞ」 切子は本当に楽しそうに言って、ぱちりとウィンクをした。 680 :ノスタルジア 第6話 ◆7d8WMfyWTA [sage] :2011/09/29(木) 06 37 16.74 ID hiGtwjwo (4/12) カフェテラスから帰る道すがら、優はずっと無言だった。 並んで歩く千鶴子と文雄の後ろをトボトボとついてくるも、気を抜くとはぐれてしまいそうな様子だった。 「なあ千鶴子、今回の件はこれ以上どうにもならないか」 「どうにもならないわよ」 恐る恐る聞いてくる文雄に、千鶴子は冷たく返す。 「彼女、尊敬していたお父さんに毒見役にされていたなんて相当なショックだと思うんだよな」 「先程も言ったけれどね、あとは優さんのお父様の心の問題なのだから、私にはどうしようもないわよ。人の心を好きなようにはできないというお話は、いつも文雄さんがしてくれていることじゃない」 「まあ、な」 「優さんのお父様の奇行の理由を探るという、当初の依頼は果たしたつもりだけど、文雄さんは私の仕事ぶりに何か不満でもあるのかしら」 「無い……。お前が言うなら、本当にこれ以上は無理なんだろうしな」 二人は交差点で立ち止まり、後ろを振り返って優を待った。 優は相変わらず俯いたまま、夕闇の煉瓦道を肩を落として歩いていた。 「信号が赤でも気付かず渡ってしまいそうだな」 「そうね」 淡々と応じながら千鶴子が文雄の表情を横目に見る。 お人好しの兄は、薄闇の中で目を僅かに細め、心配そうに優を見つめていた。 「一目見てわかるわ。不満がありあり、未練もありありじゃないの」 「え……?」 千鶴子は人差し指を突きだすと、文雄の胸をぴたりと突いた。 「あなたにそんな顔をされたら、私は頑張らざるを得ないわよ。だけど文雄さん、覚悟はあるの?」 「覚悟?」 「文雄さんは、人が死ぬのは嫌なのよね」 「嫌だし、そもそも駄目です。というか、誰かが死ねば解決するみたいな口ぶりだな」 「その通り。優さんのお父様が毒殺犯に怯えているというなら、その毒殺犯がこの世から居なくなればいいだけのことでしょう」 「お前、十年前の事件の犯人が分かったのか!? さっきの角間さんの話だけで!?」 「そんなわけないじゃない。むしろ私は単なる事故だと思っているわよ。ただ、優さんのお父様にとって犯人と思しき人物が居るなら、その人に消えてもらおうということね」 「消えてもらうって、殺すってことか?」 「ええ。文雄さんはテストが近いのだし、ささっと済ませないといけないからね」 こともなげに言う千鶴子の冷たい瞳を見て、文雄はこの妹と約束を交わして本当に良かったと思った。 恐らくあの約束が無ければ、千鶴子は今の案を誰に話すこともなく実行して、明日には美山作蔵の時のように全てが解決していたのだろう。 口づけを交わした夜から一週間余り、実の妹である千鶴子と性的な関係を持つことに随分悩みもしたが、ようやく文雄は少し罪の意識が薄れた思いだった。 「千鶴子さん、頼むからそれはやめてください。俺にその覚悟はありません」 「そうなるわよね。じゃあ別の覚悟はどうかしら」 「別の覚悟?」 「誰も死なない、皆が幸せになれるやり方も無くはないのよ」 「そ、そんな方法があるなら是非頼む!」 飛びつくように妹の肩を掴む文雄。 その目の前で、千鶴子の艶のある唇が薄く笑みをつくった。 「でも、とっても面倒だから、今の文雄さんとの関係のままだと割りに合わないのよね」 「え……?」 「いつかも言ったけれど、実は私、男女の情愛というものに興味があるの」 「千鶴子……」 「文雄さん、私とセックスしましょう。私の興味に付き合って。その覚悟を決めてくれたら、完全なハッピーエンドにしてみせるわ」 言い切る千鶴子の傍らの道を車が通り過ぎる。 そのライトが作り出す濃い影の中で、千鶴子の人差し指が文雄の股間へと下りていき、文雄の股間を撫でまわした。 文雄は無言のままで目を伏せたが、千鶴子を押し退けることはしなかった。 681 :ノスタルジア 第6話 ◆7d8WMfyWTA [sage] :2011/09/29(木) 06 38 04.52 ID hiGtwjwo (5/12) 「あなたの覚悟一つで、優さんとご家族は幸せになれるのよ」 「……でも……俺とお前は兄妹で……」 「そんなに堅く考えなくてもいいじゃない。文雄さんは初めてというわけでもないのだし」 千鶴子の言葉に、文雄は苦しそうに顔を歪めた。 「千鶴子……その話はやめてくれ」 「文雄さんにはトラウマになっているのかしらね。でも、新しい経験をして新しい悩みを抱くことで、過去を塗り替えることもできる。そういうことよ」 言い終えて、千鶴子はそっと文雄から身を離し、ちょうど二人に追いついた優に声をかけた。 「優さんもあまりショックは受けないで。また上手い具合に文雄さんが解決してくれるかもしれないからね」 「ショックというより、可哀想で」 優はポツリと呟いた。 「父が可哀想で。ずっと怯えてきたのかと思うと。それをどうにもできない、助けてあげられない自分が情けないんです」 少女の目にじわりと涙が浮かんだ。 その表情は、初めて文雄と千鶴子が優に出会った時の表情と似ていた。 「あの時も優さんは、お父様を責めるのではなく、自分を責めていたわね」 「え……?」 「本当、よほど好きなのね、お父様が……」 千鶴子はため息をついた。 「優さん、お父様に兄弟姉妹はいるのかしら?」 「弟が……私からみたら、叔父が一人います。少し癖のある方で、もう数年は親戚の集まりでも見ていませんが……」 「仮に十年前の事故でお父様本人まで亡くなっていたとしたら、三条家の遺産は全てその人のものだったということね」 「そうなりますね」 相続の順位について千鶴子が語っているのは、優にもわかった。 「ちなみに先日優さんは、お父様とお母様は政略結婚をしたに過ぎないと言っていたけれど、どういうこと?」 「それは……父は家業についてとても義務感の強い人なので、その家業の安定を盾にした分家からの縁談を断れなかったらしいんです。母の実家が家業により深く関わるために嫁を押しこんだのだろうと、親戚では噂されています」 「あくまで噂であり、当人たちに確認したわけではないのね」 「それはそうですけれど、実際親族で一番発言力があるのは母の実家になっていますし……とにかく、二人が好き合っていたという話は一切ないんです!」 「前の奥さまが亡くなって一番利益を得たのが、お母様の実家であると」 ふむ、と千鶴子は頷いた。 「単純に考えると叔父様か、あるいはお母様とその実家が一番怪しいと思えるのかしらね。実際それらの方々と接したことのある優さんから見たらどうなのかしら」 「私から見るとですか?」 優は少し考え込んだ後、頷いた。 「そうですね。叔父も母も母の実家も、人間的にまっとうとは思えませんし、一番怪しいと思います」 「厳しいお言葉ね。まあ、そうすると、お父様から見てもそうなのかも知れないわね」 「父から見ても……」 俯いて、考え込む仕草を見せる優。 やがて信号が青に変わると、千鶴子は黙ったままの文雄の手を握った。 「行きましょうか。優さんにとって一番いい未来があることを祈っているわ。私も何か手伝えるといいのだけれど、ねえ、文雄さん?」 そう言って千鶴子は、満面の笑みを見せるのだった。 682 :ノスタルジア 第6話 ◆7d8WMfyWTA [sage] :2011/09/29(木) 06 39 00.71 ID hiGtwjwo (6/12) 『三十九歳男性 アパートの階段から転落死』 二日後、新聞の地方欄にそんな小見出しが載った。 一人暮らしの男性が階段から転落死し、他に誰も住んでいない街外れの小さなアパートであったため発見が遅れたという記事だった。 亡くなった男性の名は、三条亮二と書かれていた。 「さあ、話を聞かせてもらうぞ」 昼休み、第二図書室を訪れた文雄は、持ってきた新聞を貸出カウンターに広げてそう言った。 「話って何よ?」 「この記事についてだ。転落死したこの三条亮二という男性、三条英一氏の弟らしい」 「ふむふむ。優さんの言っていた叔父様ってやつね」 「そうなるな。親戚のご不幸ということで、三条さんは本日お休みだ」 「それで、私に何を話せというの?」 文雄は緊張感に満ちた表情で尋ねた。 「お前……三条亮二を殺したのか? 美山作蔵の時のように」 「まさか。この男は文雄さんに直接害を為したわけじゃないし、文雄さんに頼まれてもいない。私が彼を殺す理由は無いわよ」 「本当に本当だな?」 「信用が無いのね。失うのは簡単で取り戻すのは難しいとは言うけれど、悲しいことだわ」 全然悲しそうではない口調で、千鶴子は言った。 「記事にもちゃんと事故として捜査って書いてあるじゃない。どうして私が殺したなんて思ったのよ」 「お前、言ってただろ。三条英一氏にとって犯人と思しき人物が居るなら、その人に消えてもらえばいいって」 「言ったわね」 「単純に考えると三条さんの叔父か、あるいは母親とその実家が一番怪しいと思えるって」 「それも言ったわね。こんな私の言葉でも文雄さんの記憶に残るのだと思うと、嬉しいわ」 「喜んでもらえるのは結構なんだがな、その……結局どうなのか、正直に言ってもらえると俺も嬉しい」 千鶴子は読んでいた本を閉じると、文雄の目を真正面から見つめる。 「大丈夫。殺してないわよ。文雄さんとの約束だもの」 はっきりとした声でそう言った。 「そうか……そうだよな。お前は色々変な妹だけど、約束を破ったりはしないよな」 「そうよ。文雄さんの覚悟が決まれば念願のセックスができるんだもの。殺してこのチャンスを逃すなんてありえないわ。文雄さんにあの提案をした時点で、私の戦略は引き延ばしの一択よ」 「少し褒めようとすると、すぐそういうことを言う……」 苦笑いしながらも、安心したことには変わりない。 文雄は一気に緊張が緩んで、ヘナヘナとカウンターの前の床に膝をついてしまった。 「とすると、やはり三条亮二の死は単なる事故なわけだな」 「まあ、優さんが手に掛けたということも考えられなくはないけどね」 「へ……? ど、どういうことだ、それは!?」 思いがけない千鶴子の指摘に、文雄は間抜けな声をあげてしまう。 カウンターに身を乗り出してくる文雄の頬を、千鶴子が手に持った髪の先で叩いた。 「どうもこうも、言葉通りよ。優さんが叔父様を殺した可能性はあるわよ」 「馬鹿な……あんないい子が人殺しなんて……」 「いい子って、優さんのどのあたりがいい子なの?」 「自分が毒見役にされていたと知ってなお、父親が可哀想だと言うんだぞ。いい子じゃないか。他にも、礼儀正しいところとか……って何してるんだ!」 文雄の三条優に対する人物評はすぐに終わりになった。 千鶴子がカウンターの席に座ったままでスカートをめくり、淡いピンクの下着を露わにしていたからだ。 「この図書室には二人きりなんだから、大丈夫よ」 「俺が大丈夫じゃないからしまいなさい! 最近お前、露出狂の気があるぞ!」 「うら若き乙女を捕まえて酷いことを言うわね。文雄さんが寝ぼけたことを言うから、目を覚まさせてあげようと思っただけよ」 千鶴子は唇を尖らせて言う。 「文雄さんは、ああいうおしとやかな人が好みなのかしら。困ったものだわ」 「いや、好みとかじゃなくてだな……」 「ともかく、人間としてであれ異性としてであれ、優さんを好きになるのはやめておきなさい。色々がっかりするだけだから」 「異性としてどうこうなんて考えてないけど、何でだよ」 「気付かなかった? 優さん、お父様のことが好きなのよ」 「いや、だから、家族想いだなあと……」 「いえいえ、そうじゃなくてね、愛しているのよ。女から男への気持ちとして、愛しているの。優さんのお母様に対する敵対心を見たでしょう」 683 :ノスタルジア 第6話 ◆7d8WMfyWTA [sage] :2011/09/29(木) 06 39 41.00 ID hiGtwjwo (7/12) 「……え?」 文雄は唖然としてしまった。 娘から父への、女としての男への愛。 それは文雄にしてみればまったく想像したこともない感情だった。 「え……と、だけど、二人は血はつながっていないけれど父娘で……」 「関係ないわよ、そんなの」 「だって、それって……近親相姦……」 「結婚は禁じられていても、愛することまで禁じられてはいないわよ」 『近親相姦』という言葉を恥ずかしそうに口にする文雄の頬に、千鶴子がそっと手を当てる。 そのまま椅子から立ち上がると、カウンター越しに兄の唇にキスをした。 「……! ま、またお前はこんな時に……!」 「情報提供料ということで」 慌てて身を離す文雄に、千鶴子は優しく笑いかけた。 「とにかく、優さんのお父様に対する執着は相当なものがあるわ。それこそ、お父様の心の安寧のためなら、私が言ったように犯人と思しき人物を殺しかねないくらいにね」 「そんな……」 「先日の帰り道、落ち込んでいるように見えて優さんはこちらの会話に神経を集中させていたのかも知れないわね」 顔を青ざめさせて、文雄はますます深刻な表情になる。 呻くように息を吐いて、その場で固まってしまった。 「三条さんが俺たちの会話を聞いていて、それで叔父を殺したんだとしたら、次は母親が狙われることになるんじゃないか?」 「もし優さんが殺したのならね」 「だったら止めないと……!」 力強く拳を握る文雄に、千鶴子が静かに問いかけた。 「文雄さん、一度関わった人間とはいえ、どうしてそこまで彼女に執着するの?」 「一度関わった人間が不幸になったら気分が悪いだろ」 「本当にそれだけ? それ以上の感情は無いと言い切れる?」 「それ以上も何も無いよ。ただのわがままと言われればそれまでだけどさ」 「なら……仕方ないわね」 千鶴子は俯いてカウンターに手をつくと、小さな声で言った。 「大丈夫。優さんは殺していない。三条亮二は事故死よ」 「そうだったら嬉しいけど……」 「優さんのあの細腕で、人殺しなんてできないわよ。それに何より、優さんのあの性格ではね。文雄さんの言う通り、彼女はとてもいい人だもの」 千鶴子はいつもの無表情に戻り、淡々と言った。 「三条亮二が亡くなったことで優さんのお父様の疑念が晴れて、優さんの悩みも解消するかもしれないわね。文雄さんとしては、私とセックスをしないまま全てが終わって、ひと安心というところかしら」 「人が亡くなっわけだし、そこまで思っているわけじゃないよ」 「まあ、私はいつでも待っているから。その気になったら言ってちょうだいね」 千鶴子はカウンターの席に座り直すと、ほぅと息をついた。 684 :ノスタルジア 第6話 ◆7d8WMfyWTA [sage] :2011/09/29(木) 06 40 39.20 ID hiGtwjwo (8/12) 数日後の夜。 三条家の廊下を、優は静かに歩いていた。 叔父の三条亮二が亡くなったため、その生家である三条家はこのところ普段は無い人の出入りがあったが、それも既に落ち着いている。 夜の闇の中に、木の床の軋む音が微かに響いていた。 優が立ち止まったのは彼女の母、三条望の寝室の前だった。 襖に手をかけてそっと開き、質素な内装の部屋の中に歩を進める。 その右手には、銀色に光るナイフが握られていた。 部屋の中央に敷かれた布団に、優はまっすぐ近付いていく。 ついにその間近に立ち、改めてナイフを握り直したその時―― 「はい、そこまで。望さんはそこには居ないわよ」 部屋の明かりがぱちりとついた。 「まさか本当に来るとは。あなたもなかなかのものね、優さん」 部屋の入口に立ち、小さく拍手を鳴らしながら感嘆の言葉を口にしたのは、千鶴子だった。 「千鶴子……さん」 「でもそのやり方はよろしくないわ。ハッピーエンドにならないわよ」 「どうしてここに……」 愕然とした様子で優は問いかける。 ナイフは変わらず手に握ったままだった。 「あなたが望さんの命を狙うかもしれないと思ったから、しばらく張り込んでみることにしたのよ。早めに行動してくれて助かったわ」 「どうして……」 「三条亮二の亡くなった今、あなたに一番都合の良い展開を考えただけよ。正直可能性は低いと思っていたけれど、恋する乙女は怖いわね」 黒いシャツに黒いキュロットという、黒一色の私服姿で、千鶴子は首を振る。 身を縮みこませながらナイフを構え直す優を、手で制した。 「そう攻撃的にならないで。あなたをどうこうしようというつもりはないわ。ただ、あなたが人を殺すと悲しむ人が居るからやめていただくようお願いに来たのよ」 「……父は、私が何をしたところで心を動かすことはありません。父の心を少しでも開くために、母を殺すことが必要なんです」 「いえいえ、あなたのお父様が悲しむかどうかはどうでもよくてね。文雄さんが悲しむからやめて欲しいの」 「え……と、文雄さんって、澄川君ですか?」 思いがけない名前の登場に、優は目をぱちくりとさせてしまう。 千鶴子は深く深く頷いた。 「文雄さんにとって優さんは、人殺しをするような人間じゃない。まっとうな道を歩んで、幸福を掴むべき人間なのよ。だからその通りに生きて欲しいの」 「それこそ、どうでもいいお話です。私にとって大切なのは、父の心を救うこと。澄川君の期待通りに生きる義務なんてありません」 「そこを何とかお願いできないかしら。優さん自身、文雄さんには少なからずお世話になった自覚もあるでしょう。それに、私がこうしてここにいるのは、優さんが望さんを殺す可能性があることをご本人に伝えたからで……あなたはもう詰んでいるのよ」 「……!」 優は悔しそうに唇を噛む。 ナイフを前に突き出していた腕から力が抜け、だらりと床に垂れた。 「一応聞いておくけれど、叔父様を……三条亮二を殺したの? それでお母様も殺そうと?」 「……いいえ。事故で亡くなったと聞いて、父の心を解放するチャンスは今しかないと思ったんです」 「なら良かったわ。未遂で済んで何よりね。あまり慣れないことはするものじゃないわよ」 あくまで淡々とする千鶴子に対して、優はこの世の終わりのような悲壮感溢れる表情を見せていた。 「でも……母が居る限り父はずっと今のままで……きっとまた新しい妹ができることになって……」 「優さんは、お父様が他の女の子と仲良くすることが、そんなに悔しいの?」 「悔しいです。何よりも」 もはや何も隠すことなく、優は素直に頷いた。 「でも、こんなあからさまに殺人とわかるやり方でお母様を殺したら、あなたは捕まって、お父様と一緒に暮らせなくなってしまうのよ?」 「いいんです。それで父が心穏やかに過ごせるようになるなら。少しでも私が父の記憶に残るのなら」 「果報者ね、英一さんは」 優の胸中の吐露に応じたのは、千鶴子ではない別の人物の声だった。 優も千鶴子も、部屋の入り口を振り返りその声の主を確かめる。 そこには寝巻に身を包んだ三条望が立っていた。 685 :ノスタルジア 第6話 ◆7d8WMfyWTA [sage] :2011/09/29(木) 06 41 40.55 ID hiGtwjwo (9/12) 「望さん……! 危険だから隠れているようにとあれほど……!」 千鶴子が珍しく慌てた声を出し、優を見る。 優はナイフを構え直したものの動き出す様子は無く、その理由に千鶴子もすぐに気がついた。 望は三十半ばの細身の女性には不釣り合いな、いかついクロスボウを手にしていたのだ。 クロスボウにはしっかりと矢が装填され、優に狙いが定められていた。 「あら。そんな顔しないで。自衛のためよ」 千鶴子の視線に気づき、望はにこりと笑う。 そして再び、優の立つ方を向いた。 「優ちゃん、私も死ぬわけにはいかないのだけれど、どうしたら諦めてくれるかしら?」 「お父様に心の平穏が訪れるまで、諦めることなんてできません」 「英一さんはあの通り、過去に縛られたまま、見えない敵に怯えてこの十年を過ごしてきたわ。もはや狂人と同じ。心に平穏が訪れるとしたら、死んでからの話よね」 冷たく言い放つ望の態度に、優の瞳は敵意で彩られた。 「あなたはまた……お父様を貶めるようなことを……!」 「貶めてなんかいないわ。事実なんだもの」 「……!」 優の体が小刻みに震えだす。 その様子を見て、千鶴子は二人の会話に割って入った。 「望さん、あまり優さんを挑発しないでください。彼女の心情は繊細なものですから、本気で斬りかかってきかねませんよ」 「大丈夫よ千鶴子ちゃん。この距離なら確実に当てられるから」 「それではいずれかに死人が出てしまうことになります」 「それも大丈夫! 私のは正当防衛になるから」 言って望はころころと笑いだす。 ここに至って、千鶴子は三条望の異様さに気がついた。 (先日優さんから命を狙われる可能性があることを告げた時は、ごく普通に怯えているように見えたのだけれど……) まっとうではない、そう優は叔父と母を評していた。 全ては三条英一への愛情からくる母への敵意ゆえと千鶴子は考え、その発言を軽視していたところがあった。 (まずいかもしれない……) 千鶴子が望の手にしたクロスボウと、そこにつがえられた矢をちらりと見る。 望は笑い声をあげながら、気付けば千鶴子とも距離をとりつつあった。 千鶴子からすれば一足飛びには届かない距離。 そして、望からすればわずかな手の動きで優と千鶴子のいずれも狙える距離だった。 「でもね、私も英一さんのことを考えていないわけじゃないのよ。恥ずかしい噂が立たないよう、頑張って来たんだから」 「それはあなた自身のためでしょう!」 「いえいえ、違うわよ。英一さんのため。そして、優ちゃん含め可愛い娘たちの将来のためよ。そこの千鶴子ちゃんが証明してくれるわ。今回のことも、英一さんや優ちゃんのために千鶴子ちゃん一人の胸の内に収めておいてくださいって、誠心誠意お願いしたんだもの」 ねえ、と問いかけてくる望に、千鶴子は返事をしなかった。 実際その通り頼まれ、優が過ちを犯した際に文雄がショックを受けるといけないという千鶴子自身の思いもあり、誰にも夜の三条家での張り込みについて話をしていなかった。 それはすなわち、今ここで千鶴子が消えても、三条望が有力な加害者として挙がることはないことを示していた。 「どうしたの、千鶴子ちゃん。黙り込んじゃって」 「いえ。一応書き置きぐらいは残していますけどね」 「ふふ……そういうことにしておきましょうか」 さして気にした風でもなく、望は再び優を見た。 「とにかく、私が英一さんのためを考えているのは本当のこと。少なくとも、優ちゃんと同じくらいにはね」 「あなたに……あなたなんかに、私と同じお父様への想いがあってたまるものですか! 私はお父様のためなら何でもやってみせる! あなたみたいな、財産目当ての女にそれができるというの!?」 「できるわよお。だって亮二さんは私が殺したんだもの。英一さんの心を解すためにね」 「!?」 687 :ノスタルジア 第6話 ◆7d8WMfyWTA [sage] :2011/09/29(木) 07 10 12.28 ID hiGtwjwo (10/12) 空気が一瞬で張りつめた。 「まさに千鶴子ちゃんの推理通り。気付いてる人がいたなんて驚いちゃったわよ。亮二さんが死ねば英一さんも少しは警戒を解いて、殺して楽にしてあげることもできると思ったんだけど、上手くいかないものよね。やっぱり、あの人の用心深さは狂人の類だわ」 「あなたが……十年前の、犯人?」 優が渇いた声で問いかける。 望は唇の端を吊りあげ、薄く笑った。 「すぐに愛しのお父様も後を追わせてあげるわ。気が狂って家族を惨殺の末自殺、なんてストーリーがいいかしら。そのうち優ちゃんの妹たちも、みんな逝かせてあげる。こんなリスクの高いやり方は嫌だったけれど、優ちゃんが私の命を諦めてくれないなら仕方ないわよね」 優がナイフを前に構えて駆け出した。 望は躊躇なくクロスボウの引き金を引く。 次の瞬間、優は矢を体に受けて、仰け反るように床に倒れ込んだ。 「優さん!」 反射的に千鶴子は優に駆け寄り、望からかばうようにして抱きかかえた。 矢は肩口に刺さっており、どうやら息はあるようだった。 「今のは正当防衛よねえ?」 クロスボウに矢をつがえ、望が余裕の表情で尋ねてくる。 千鶴子は肩越しに振り返り、笑って応じた。 「……はい、と言えば見逃してもらえるのかしら?」 「わかりきったことだわね」 望がまたころころと笑った。 「頭のいい子だと思ったけど、そうでもないのかしら。矢を放った直後があなたにとっての唯一のチャンスだったのに。優ちゃんをかばったところで、死んじゃったら意味ないでしょ」 「つい、ね。彼女が死んだら、私の大切な人が悲しむのよ」 千鶴子の言葉に、望は首を傾げた。 「よくわからないけど、千鶴子ちゃん、天国でも優ちゃんをよろしく。おとなしく死んでちょうだいね」 望がクロスボウを千鶴子に向けて照準を合わせようとしたその時―― 「うおぉおおおおおおおっ!!!」 叫び声と共に廊下を駆ける音が響き、暗闇から飛び出した人影が望に飛び掛かった。 望は即座に体を翻し、人影に向かってクロスボウの引き金を引いていたが、バランスを崩したせいで矢は天井に突き刺さってしまう。 人影はクロスボウを取り落とした望を床に引きずり倒し、一発二発と殴りつけ、また大声で叫んだ。 「千鶴子! お前は静かな子だが、こんな時まで静か過ぎだ! 生きるか死ぬかの時なら叫べ! このおばさんの言葉が聞こえなければ、まったく気付かないまま終わってたぞ!!」 叫び声の主、人影は文雄だった。 「文雄さん……? どうして……」 「このところ毎日眠そうだったからな。夜遊びをしているなら注意してやろうと思ってつけて来たんだ」 「日頃あれだけの関係を持っているのに、何だか子供扱いなのね」 「子供というか、妹だからな。お前は」 「そう……」 千鶴子は心なしか寂しそうな顔をして、その場にへたりこんだ。 「まあ、正直助かったわ。私としたことが、無様な姿を見せてしまったわね。ありがとう、文雄さん」 「ついでにあっちの人にもお礼を言っておいてくれよ。家に入るために、色々協力してくれたんだ」 「……?」 文雄の指し示す廊下の奥から小走りに現れたのは、黒いスーツに束ねた髪の女性。 あの角間切子だった。 「どうも、角間切子です。警部補やっています。三条望さん、殺人未遂であなたを現行犯逮捕します。ついでに十年前の話も、ね」 提示された警察手帳を見て、文雄に組み敷かれてもがいていた望もついに観念して動きを止める。 その様子を見て満足げに頷くと、切子は文雄の頭をコツンと拳で突いた。 「文雄君、今のは一歩間違えたら死んでいたよ。警察官を目指すなら、今は生き延びることを考えないと。あ、救急車は呼んでおいたからご安心を」 「いえ、まだ目指してるわけじゃないです。というか、あのタイミングを逃したら、千鶴子は一歩間違えなくても死んでいたと思います」 「まあそうかな。でも私としては、あそこから千鶴子ちゃんがどうやって望さんを説得するかも見てみたかったんだけどね」 切子は明るく言うと、束ねた髪を元気に揺らして千鶴子に頭を下げた。 「お疲れさまでした、千鶴子ちゃん。危ない場面もあったけれど、事件解決おめでとう!」 「……なるほど、文雄さんの本当の好みはあなただったわけですか」 「え? 何が?」 「いえ何でも。ありがとうございました、角間さん」 頭を抱えながら礼を言う千鶴子だった。 688 :ノスタルジア 第6話 ◆7d8WMfyWTA [sage] :2011/09/29(木) 07 11 49.32 ID hiGtwjwo (11/12) 「文雄さん、学校はどうしたの?」 三条家での事件の翌日、千鶴子は学校を休んで半日眠り、目覚めての第一声はそれだった。 「学校は休んだ」 ベッドの脇に置かれた椅子に座って、文雄はきっぱり言う。 「駄目じゃない、テスト前なのに」 「そんなことはいい。千鶴子、そこに座りなさい」 「座ってます。というか寝てます」 場所は千鶴子の部屋、午後の日差しがカーテンを淡く照らしている。 両親とも千鶴子のことは文雄に任せ、いつも通り仕事に出ていた。 「千鶴子……俺は怒っている」 「優さんは大怪我をして、望さんはあんなことになってしまったものね。でも、あの家族の根本の問題は解決したのだから、そこは評価していただけると嬉しいわ」 「そんなことを言ってるんじゃない!」 文雄は千鶴子の額をぴたりと叩いた。 「結局お前は、三条さんが望さんを殺す可能性を考えていたわけだな」 「まあそうね」 「それを一人で止めようとしていた」 「あってるわ」 「それで意外なところに更に危ない人物が居て、死にかけたと」 「お恥ずかしい限りだわ」 文雄は両の拳を握りしめると、千鶴子の横たわるベッドを叩いた。 「どうしてそんな無茶をするんだ! お前は!!」 「優さんが人殺しだったら、変な幻想を抱いている文雄さんが可哀想かな……なんて思って。私なりに文雄さんの一番の好みを追求したつもりだったのよ」 「お前が傷つく姿の方がよっぽど見たくないよ……」 千鶴子の言葉に、文雄はそれ以上怒る気をなくしてしまう。 表向きは反発することを言いながら、自分のことを思いやってくれる千鶴子の気持ちが嬉しくもあり、また申し訳なくもあった。 「俺がわがまま言い過ぎたのも悪かったけど、頼むから無理はしないでくれ。無理をするなら、事前に相談してくれ」 「相談なんてできないわよ。結局私が文雄さんの望むように事件を解決しようとしているとわかったら、文雄さんは今後二度と私の興味に付き合ってくれなくなるでしょう」 「それは……そうかも知れんが……」 「難しいものよね。文雄さんの望み通りにしたいけれど、同時に私自身の願いも叶えたい。事件の解決を約束しながら、文雄さんが私との取引に応じる気になるよう誘導しなければならないのよ」 「俺が取引に応じるように……」 「そう。何の不安も無いと、私の言葉なんて本気で聞いてはくれないでしょう。文雄さんの心の中に不安を残したままで事に当たるのが、効果的な方法となるわけよ」 「言わんとすることはわかるがな。それでいちいち身を危険にさらしていたら意味がないだろ」 「それは私が決めることよ。今のところは……私の欲しいものを手に入れるためなら、このくらいのリスクはどうということはないわね」 ベッドに横たわったまま、千鶴子が真っ直ぐな目で文雄を見つめた。 「これからも私は、自分のやろうとしていることの全てを文雄さんに話すことはないわ。今回のように失敗して、自分や他人を危険な状況に追い込んでしまうこともあるかもしれない。 だけど、文雄さんとの約束を守りながら私自身の願いを叶える方法が他にない以上、仕方がないわよね」 「千鶴子の願い、か……」 「そう。今以上の関係をね。実際、性的な意味以外でも、私たちはパートナーとして相性がいいと思うのよ。優さんの家族の件も、最終的に二人が揃ったから解決できた。 もっと深い結びつきを持って、常に協力して事に当たるようになれば、より多くの人を助けられるんじゃないかしら」 文雄の表情が固くなる。 既に互いの性器を舐め合っている二人。 それ以上の関係――肉体の繋がりという関係。 「……俺たちは、兄妹なんだよ」 「兄妹だけれど、そうすることで全てが上手くいくのよ。今回の事件は、優さんもその家族も、下手したらみんな殺されていたわ。 今後も同じことは起こりうるけど、それでも……その程度じゃ、文雄さんは兄妹の壁は越えられない?」 「…………」 文雄は俯いたまま黙っていた。 千鶴子はずっとずっと返事を待ったが、望んだ言葉は返ってこなかった。 「……文雄さんが私を受け入れてくれるのは、本当に大切な誰かを失いそうになった時だけなのかしらね……」 そしてその本当に大切な誰かは、自分ではないのだろう。 千鶴子の胸に、冷たく突き刺さる現実があった。 「……まあ、今のところは、あの時命懸けで望さんに向かってくれたことだけで良しとしておこうかしら」 天井を見つめ、ポツリと呟く。 昼の日差しは既に、黄昏の色を帯びていた。 戻る 目次 進む
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皇帝特権:EX 本来持ち得ないスキルも、本人が主張する事で短期間だけ獲得できる。 該当するスキルは騎乗、剣術、芸術、カリスマ、軍略、等。 ランクがA以上の場合、肉体面での負荷(神性など)すら獲得する。 皇帝特権:A 本来所有していないスキルを短期間獲得することができる。 該当するスキルは騎乗、剣術、芸術、カリスマ、軍略、と多岐に渡る。 Aランク以上であるため、肉体面の負荷(神性など)をも獲得する。 【EXランク】ネロ・クラウディウス、ロムルス(GO)、始皇帝、ナポレオン(リメイク)、ハドリアヌス、ナルメル、ユディシュティラ、カールタヴィーリヤ・アルジュナ、劉秀 【A+ランク】シャー・ジャハーン 【Aランク】カリギュラ、パチャクテク 、ルキウス・ヒベリウス、武則天、クレオパトラ(GO)、メフメト2世(リメイク)、アガメムノン、ハトシェプスト、ルドルフ2世、アメニ、カニシカ1世、アメンエムハト3世 【Bランク】武則天(GO)、ナポレオン(GO)、アクエンアテン、ルキウス・ドミティウス・アウレリアヌス、劉備玄徳、ヘラクレイオス1世、ウェスパシアヌス 【B-ランク】趙高 【Cランク】ヘリオガバルス 【Dランク】 【Eランク】劉邦、ジョルジュ・サルマナザール 皇帝特権:EX(始皇帝) 他者が所有しているスキルの恩恵を、命令する事で短期間だけ弱体化させる。 ランクがA以上の場合、完全に消失させる事も可能。 始皇帝の“中華思想”と“焚書坑儒”の逸話により、 西の皇帝が所有するそれとは、同名スキルながら効果が逆転している。 皇帝特権:EX (ロムルス(GO)) 本来所有していないスキルを短期間獲得することが出来る。神祖は万能なり。 該当するスキルは騎乗、剣術、芸術、カリスマ、軍略、と多岐に渡る。 Aランク以上であるため、肉体面の負荷(神性など)をも獲得する。 本スキルを有するにあたり、ロムルスは本来有していた高ランクの神性スキルを自ら封印している。 暴走特権:EX ネロ・クラウディウス 本来持っていた皇帝特権から変化したスキル。 かつてオリンピアで戦車を走らせまくった逸話から。 昔取った杵柄とも言う。何があろうと一位を約束されたスキル 皇帝特権:EX (ナポレオン(リメイク)) ―――余の辞書に不可能の文字はない 本来持ち得ないスキルも、本人が主張する事で短期間だけ獲得できる。 該当するスキルは騎乗、剣術、芸術等。 ランクがA以上の場合、肉体面での負荷(神性など)すら獲得する。 アーチャーが皇帝になる前の状態で召喚された場合、このスキルは「星の開拓者」となる。 皇帝特権:EX (ユディシュティラ) 本来持ち得ないスキルも、本人が主張する事で短期間だけ獲得できる。 ランクがA以上の場合、肉体面での負荷(神性など)すら獲得する。 ラージャスーヤ祭を経て世界皇帝(サムラージ)へ即位したランサーは評価規格外のランクで当スキルを所持するが、濫りな使用を好まない。 皇帝特権:EX (カールタヴィーリヤ・アルジュナ) 本来持ち得ないスキルも、本人が主張する事で短期間だけ獲得できる。 ランクがA以上の場合、肉体面での負荷(神性など)すら獲得する。 かつて地上全てを支配したという五人の世界皇帝(サムラージ)の一人であるライダーは評価規格外のランクで当スキルを所持するが、 その万能性のほぼ全てを宝具『覇道伸ばす千手皇帝』の制御に使用しているため、皇帝特権スキルが本来有する圧倒的な性能は発揮できない。 皇帝特権:EX (劉秀) 本来持ち得ないスキルも、本人が主張する事で短期間だけ獲得できる。 ランクがA以上の場合、肉体面での負荷(神性など)すら獲得する。 知謀と武勇に秀でた並外れた才覚はもはや人間が敵対できるものではないと謳われた。 皇帝特権:A+ (シャー・ジャハーン) 本来所有していないスキルを短期間獲得することが出来る。 該当するスキルは射撃、芸術、魔術、カリスマ、軍略と多岐に渡る。 キャスターは「世界の皇帝」を意味する名に相応しく高いランクでこのスキルを保有しており、 『命脈彩る孔雀の座』使用中は一時的に出力が向上する。 皇帝特権:A (パチャクテク) 本来持ち得ないスキルも、本人が主張する事で短期間だけ獲得できる。 ランクがA以上の場合、肉体面での負荷(神性など)すら獲得する。 太陽皇帝(サパ・インカ)に不可能はない。 皇帝特権:A (ルキウス・ヒベリウス) 本来持ち得ないスキルも、本人が主張する事で短期間だけ獲得できる。 ランクがA以上の場合、肉体面での負荷(神性など)すら獲得する。 戦闘時には、基本的に魔力放出(雷)を用いる。 皇帝特権:A (武則天) 本来持ち得ないスキルも、本人が主張する事で短期間だけ獲得できる。 該当するスキルは道術、神性、騎乗、カリスマ、等。 ランクがA以上の場合、肉体面での負荷すら獲得する。 皇帝特権:A (クレオパトラ(GO)] 本来持ち得ないスキルを、本人が主張することで短期間だけ獲得できるというもの。 該当するのは騎乗、剣術、芸術、カリスマ、軍略、と多岐に渡る。 Aランク以上の皇帝特権は、肉体面での負荷(神性など)すら獲得が可能。 クレオパトラは本来は不得手な戦闘をこのスキルで補っているため、皇帝特権スキルが本来有する圧倒的な性能は発揮できない。 皇帝特権:A (メフメト2世(リメイク)) 本来持ち得ないスキルも、本人が主張する事で短期間だけ獲得できる。 ランクA以上ならば、肉体面での負荷(神性など)すら獲得できる。 ライダーが「破壊者」としての側面を顕わにしている場合、 他者が所有しているスキルを短期間消失させるスキルへと変貌する。 ……しかしその間、一時的にカリスマが最低ランクまで低下してしまう。 皇帝特権:A (アガメムノン) 本来持ち得ないスキルも、本人が主張する事で短期間だけ獲得できる。 該当するスキルは剣術、弓術、カリスマ、軍略、等。 ランクがA以上の場合、肉体面での負荷(神性など)すら獲得する。 ライダーはローマの時代には「王の中の王」と呼ばれ、皇帝の比喩とみなされていた。 皇帝特権:A (ハトシェプスト) 本来所有していないスキルを短期間獲得することが出来る。 該当するスキルは多岐に渡り、Aランク以上であるため、肉体面の負荷をも獲得する。 ライダーは本来は不得手な戦闘をこのスキルで補っているため、皇帝特権スキルが本来有する圧倒的な性能は発揮できない。 皇帝特権:A (ルドルフ2世) 本来所有していないスキルを短期間獲得することができる。 該当するスキルは高速詠唱、エレメンタル、芸術、カリスマ、術理解明、と多岐に渡る。 Aランク以上であるため、肉体面の負荷(神性など)をも獲得する。 豊穣神ウェルトゥムヌスの化身を自称するキャスターは五大元素(アベレージ・ワン)を司る。 皇帝特権:A (カニシカ1世) 本来所有していないスキルを短期間獲得することができる。 該当するスキルは騎乗、剣術、芸術、カリスマ、軍略、黄金律と多岐に渡る。 Aランク以上であるため、肉体面の負荷(神性など)をも獲得する。 皇帝特権:A (アメンエムハト3世) 本来所有していないスキルを短期間獲得することが出来る。 該当するスキルは直感(迷宮)、地形把握、カリスマ、軍略と多岐に渡る。 キャスターはこのスキルを用いることで『悠久の大迷宮神殿』を十全に管理・運用する。 皇帝特権:B (アクエンアテン) 本来持ち得ないスキルも、本人が主張する事で短期間だけ獲得できる。 該当するスキルは騎乗、剣術、芸術、カリスマ、軍略、等。 異端のファラオと呼ばれたキャスターはランクが少し落ちている。 皇帝特権:B (ルキウス・ドミティウス・アウレリアヌス) 本来有していないスキルを短期間獲得できる。 騎乗、剣術、カリスマと多岐にわたるスキルを習得できる。 ローマの危機を救った皇帝だが在位期間が短く、また低い身分の生まれであった為かこのランクに留まる。 皇帝特権:B (劉備玄徳) 本来有していないスキルを短期間獲得できる。 騎乗、剣術、軍略、弓術と多岐にわたるスキルを習得できる。 蜀漢の初代皇帝である事から所持している。 皇帝特権:B (ヘラクレイオス1世) 本来所有していないスキルを短期間獲得することができる。 騎乗、剣術、芸術、カリスマ、と多岐にわたるスキルを習得できるが、 宝具『聖十字の祝福』の真価を発揮するには一時的に本スキルを封印する必要がある。 皇帝特権:B (武則天(GO)) 本来有していないスキルを短期間獲得できる。 騎乗、剣術、芸術、軍略と多岐にわたるスキルを習得できる。 生まれではなく、そのときの純粋たる努力によって獲得したものである。 皇帝特権:B (ナポレオン(GO)) 初代フランス皇帝として立った彼は、皇帝特権スキルを有しているが……本作では基本的に使用しない。 皇帝特権:B(A) (ウェスパシアヌス) 本来有していないスキルを短期間獲得できる。 騎乗、剣術、カリスマ、軍略と多岐にわたるスキルを習得できる。 また宝具『天命、落陽より昇る』発動中の場合のみ本スキルはAランクに上昇し肉体面での負荷(神性など)すらも獲得する。 皇帝特権(凶):B- (趙高) かつて自身が傀儡にした皇帝の権限を一時的に借り受け行使するスキル。 騎乗、陣地作成、黄金律、軍略と多岐にわたるスキルを習得できる。 ただし、皇帝の臣という体面があるため、神性など一部スキルは獲得不可能。 更に皇帝の権威を借り受け、好き勝手に振舞った事からスキルを使用する度に民衆のヘイトを買いやすくなる。 皇帝特権:C (ヘリオガバルス) 本来持ち得ないスキルも本人が主張する事で短期間だけ獲得できる。 該当するスキルは服従、変装、魅了、拷問技術等。 皇帝特権:E~A (劉邦) 本来持ち得ないスキルも、本人が主張する事で短期間だけ獲得できる。 ランクがA以上の場合、肉体面での負荷(神性など)すら獲得する。 当人に資質のない技術は会得しづらいが「将に将たる」と称えられる劉邦は臣下の持つスキルを己の一部として使用する。 皇帝特権:E~B (ジョルジュ・サルマナザール) 宝具『美麗なる空想史観』の発動中に使用可能となるスキル。 本来有していないスキルを短期間獲得できる。 騎乗、剣術、毒薬調合、国略と多岐にわたるスキルを習得できる。 ただし、彼の真名が広まるほど効力が低下していく。
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『アジアの“一等国”』をめぐって 拙稿 安禅不必須山水ブログリスト http //ni0615.iza.ne.jp/blog/list 「人間動物園」、台湾先住民は出演者に過ぎないのか? http //ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/1018889/ 不可解なNHKバッシング(1)人間動物園 http //ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/1035164/ 不可解なNHKバッシング(2)日台戦争 http //ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/1035432/ 不可解なNHKバッシング(3)漢民族 http //ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/1035523/ 不可解なNHKバッシング(4)中国語 http //ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/1035567/ 「議員の会」へのNHKの回答 http //ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/1037115/ 「NHK抗議デモ」 下品な声はスパイか工作員だってサ http //ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/1039742/ チャンネル桜による産経「全面広告」 http //ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/1042010/ 李登輝友の会が配布した怪文書か? http //ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/1044542/ 「人間動物園」 コメントへの答え http //ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/1050777/ 「日本語族」のおじいさんたちが知らない後藤新平のもう一つの顔 http //ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/1065205/ やっぱり、「チャンネル桜」は放送法を守らなくちゃならない筈だ… http //ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/1077521/ 「台湾村」=動物園か何かに行ったやうに小屋を覗いて居る http //ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/1078200/ NHKタタキの安倍晋三さん、あなたの出演、放送法違反ではありませんか? http //ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/1092106/ 嘘つきはどっち? 大高未貴&水島総のトリック http //ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/1093079/ 証拠保全:水島総の直?言極?言 http //ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/1096613/ NHKたたきの真打、早くも登場! 安倍晋三さん http //ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/1092083/ 安倍元首相の活躍についてのミエミエ改変 http //ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/1102443/ 「日英博の生蕃館」全文を読む 1 http //ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/1103917/ 「日英博の生蕃館」全文を読む 2 http //ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/1103926/ 「日英博の生蕃館」全文を読む 3 http //ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/1103928/ 「日英博の生蕃館」全文を読む 4 http //ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/1103949/ 「日英博の生蕃館」全文を読む 5 http //ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/1103936/ 「日英博の生蕃館」全文を読む 6 http //ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/1103943/ 「日英博の生蕃館」全文を読む 7 http //ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/1103969/ 「日英博の生蕃館」全文を読む 8止 http //ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/1103977/ 久しぶりの古森義久さん http //ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/1105550/ 【資料】議員の会再質問状とNHKの再回答1 http //ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/1107113/ 【資料】議員の会再質問状とNHKの再回答2 http //ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/1107148/ 【資料】議員の会再質問状とNHKの再回答3 http //ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/1107156/ 【資料】議員の会再質問状とNHKの再回答4止 http //ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/1107268/ Made in China 黒Tシャツで・・・ http //ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/1107021/ 古森さんが無視した再回答書 http //ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/1106918/ 『アジアの一等国訴訟』の訴状の現状 http //ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/1109060/ 『アジアの一等国』訴訟の訴状を読む(1) http //ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/1109606/ “NHK職員の匿名告発” 贋作の匂い -1 http //ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/1112327/ 古森さん、コメント削除で虚偽を守る? http //ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/1112858/ 柯徳三氏の本 桜の花出版社の弁明 チャンネル桜の薮蛇【台湾取材レポート】 【資料】櫻井よしこ氏と金美齢氏の激、柯徳三氏の義憤 「85%の台湾人に原住民の血混じる」がとんでもないデマに変わる 台湾独立派と日本右翼との提携 台湾先住民24名を引率した「サーベル紳士」は誰? TOPページ
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アリババの家の奴隷の女性、聡明で主人によく仕えた。油壷に潜んだ盗賊や商人に化けた盗賊頭を打ち取り、主人を助ける。 その後奴隷から開放され、アリババの息子(*1)と結婚し、盗賊の財宝を貧しい人たちに分け与え、手助けをしていった。 出典表記: Marjanah(マルジャナー、マルジャーナ) アラビア語:مرجان 名前由来:「(赤)珊瑚」「小さな真珠」を意味する。 かつてアラビアでは、奴隷を宝石・珊瑚・真珠・花などの名で呼ぶ風習があった。 【出典】 『千夜一夜物語』 『60 アリ・ババと四十人の盗賊の物語(第851夜 - 第860夜)』 『アラビアンナイトストーリー』 『173 アリ・ババと四十人の盗賊(千夜一夜物語拾遺)』 【関係キャラ】 (主人)アリババ、(主人の兄)カシム、ハッサン リンク 暗黒大陸(カルタゴ) ファナリス マスルール 奴隷 アリババと40人の盗賊【Wikipedia】 『アラビアン・ナイト 別巻 アラジンとアリババ』前嶋信次/訳〈東洋文庫443〉 平凡社 平凡社東洋文庫 『巨蛇の女王 アラビアン ナイト 5』 バートン版 山主 敏子 編訳 ぎょうせい 『シンドバッドの冒険―アラビアン・ナイト』 (文研児童読書館)ラング (著), 久米 宏一 (イラスト), 花岡 大学 (翻訳)
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商会コンペディション情報 2009年4月15日~5月15日 納品物 ディンカの指輪(5) マグロのオリーブステーキ23皿(5) 大型船尾楼(4) ボルジアの秘毒(4) 鶏丸焼きニンニク詰め5皿(3) ディンガの腕輪 探索9 アフリカ南東岸奥地 マグロのオリーブステーキ23皿 船乗りの魚介料理マグロのステーキ[調理10] マグロ1 オリーブ油1 塩1 大型船尾楼 大型特殊兵装製造法大型船尾楼製造[鋳造12] 鉄材30 木材30 ボルジアの秘毒 民間伝承の錬金術その4ボルジアの秘毒の製法[錬金術2] ブタ3 赤の錬金薬液1 砒石の毒5 赤の錬金薬液 パラケルススの錬金術赤の錬金薬液の製法 赤い鉱石10 水銀3 火トカゲの刻印1 鶏丸焼きニンニク詰め5皿 料理長の肉料理鶏とニンニクのあぶり焼き[調理14] 鶏肉1 ブランデー1 ガーリック1 貢献度状況 4月16日1時5分現在 20/110
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No. アルージアの水還り 墓地から味方クリーチャーと共通の属性を持つクリーチャーを場に戻すリアニメイトスペル。 コストは3と高く召喚時の攻撃もないが専用のデッキを作れば非常に強力なスペルである。 召喚されるクリーチャーは様々で、もともと攻撃がないため単にマナ得できる要塞のカデナの動く島や十人僭主の巨牢、 迎撃が強力なパートモールの偵察気球、斥候や隠兵を持つサイアムの番兵、森渡り猫の櫓、 他にもパルマスの伝道船や7マナ龍族など枚挙に暇がない。 ただし攻撃できない特性からチェック合戦では腐りやすいため 素早く墓地に落とし召喚していくデッキ構成が求められる。 ちなみに水還りで氷雪ミミックを蘇生したとき そのまま手札のレア以下の水クリーチャーに転生可能である。 豆知識として覚えておきたい。 コメント 名前
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1. …まぶたの向こうから,強い光を感じた.そして二人の,男性と女性の声が聞こえる. 「ミンウ,助かりますか?」 「はい.彼女も彼と同じように強い生命力を感じます.じきに意識を取り戻すでしょう」 私は目を開けられなかった.目を開けたら,また帝国の兵士が襲って来そうで・・・怖くて・・・.でも,ここはなんだか心が温かくなるような場所だということは,体中から感じられた.「ここは一体どこだと言うの・・・?」そう思った.すると,さっきの女性の声がした. 「あら,もう話せるまで元気になったのですね.ここはアルテアにある反乱軍のアジトのなかです.それも・・・」 そして今度は同じくさっきの男性の声がした. 「それも,負傷者を回復させる部屋,『魔方陣の間』だ.君はどうやら何かに怖がっているようだね.ここは,今ヒルダ王女からご説明があった通り,反乱軍のアジトだ.反乱軍は,帝国軍とは立場を異にする組織だから,大丈夫,目を開けて御覧なさい」 と言われたので,私は恐る恐る目を開けてみた.すると,白いターバンを巻いている男性と,頭に左右二対の角を生やした被りものをした女性が視界に入って来た. 「わ・・・私の声が聞こえていたのですか・・・?」 私がそう訊くと,その女性・・・ヒルダ王女は,はい,と頷いた. 「じゃあさっきの光は・・・,それより他のみんなは・・・?!」 私が思わずそう口にすると,白いターバンを巻いた男性は,私を落ち着かせるためなのか,穏やかな口調でこう言った. 「私は白魔導士・ミンウ.先程の光は私の白魔法によるものだ.『他のみんな』というのは,君と一緒に深手を負って倒れていた人たち,ということかな」 私はミンウの言葉に素早く答えた. 「はい,そうです.私はマリアといいます.他のみんなというのは,私の兄のレオンハルトと,フリオニールとガイというんですけど・・・」 と,言っている途中,この魔方陣の間に入って来た人がいた.彼は・・・. 「マリア 生きてた よかった・・・」 私は彼の声を聞いて,さっと起き上がり,彼の声と姿を認めると, 「ガイ!生きていたのね!良かった・・・」と,安堵した.そこで,反乱軍の一員らしい人がこの部屋の奥から来て, 「ヒルダ王女にミンウ様!次の負傷者が運ばれます!」 と言ったので,ミンウが, 「・・・どうやら君たちの最後の仲間かもしれない.さあ,回復作業は私に任せて,君たちは部屋の外に出ているんだ」 と言い,私とガイは魔方陣の間から出ることになった. 「最後の仲間」・・・?どういう意味だろう.反乱軍のアジトをガイと歩き回っている最中,私はさっきミンウから言われた言葉が気になったので,ガイに訊いてみた. 「ねぇ,ガイ.兄さんは?兄さんはどうしたの?」 するとガイはこう答えた. 「フィンの王女 おれたち 見つけ 助けた.魔方陣の間で回復 一番最初 おれ.レオンハルト いなかった・・・」 えっ?!兄さんは助けられていない?そんな・・・.じゃあまさか死ん・・・.・・・と,そこで,魔方陣の間からミンウとヒルダ王女が出てきたので,私は彼らに,兄さんの安否を訊きに話しかけようとしたけど・・・.他の反乱軍のメンバーに手を掴まれ, 「ミンウ様とヒルダ王女は作戦会議に入られるところだ!邪魔をしてはいけない」 と一喝された.だけど,次に魔方陣の間から出てきたのは・・・.私は思わず叫んだ. 「フリオニール!生きていたのね!良かった・・・.私・・・グスン」 兄さんと同じくらい想い慕っていた彼の無事を確認できたものだから,思わず涙が出てしまった・・・.でも涙を見られて心配をかけるのも,なんというか・・・申し訳ないので,すぐ涙を払って,素顔に戻った.そうだ.私は心配をかけてはいけないんだ.フリオニールは言う. 「マリア・・・ガイも無事だったか.レオンハルトは?」 ガイが状況を説明している間,私はずっと俯いてしまっていた.それを見て気づいたのか,フリオニールは, 「どうしたんだ?マリア.まだ傷が治っていないのか?」 と訊いてきた.あ,いけない,私ったら.心配をかけて申し訳ない,だから悟られまいと思いを固めていたところを,すぐに崩してしまって・・・.意志の弱い女ね,私って・・・.それに比べて・・・.私は答えた. 「傷は完治しているわ.ただ・・・兄さんのことがどうしても気がかりで・・・」 私がそう言うと,フリオニールは, 「大丈夫,生きているさ,きっと」 と,私を励ましてくれるかのように言ってくれた. 「そ・・・そうよね.きっとどこかで生きているわよね」 私もつられてそう答えた. 「反乱軍の会議,随分長いな.もう始まって何十分も経っている・・・」 「そうね・・・」 フリオニール,私,ガイの三人は,反乱軍のアジトにて,相談していた.相談の内容は,自分たち三人も,反乱軍に加えてもらえないか,ということだ.故郷を奪われたという思いもあるし,私たちの仲間・レオンハルトを捜すためでもあるし・・・.私たちの決意は,比較的すぐに固まった.やっぱりみんな幼馴染だから,思いが結束しやすいんだと思う. そうすること十数分後に,反乱軍の会議が終わったようだ.作戦会議室から,どやどやと同じような恰好をした人たちが出て来たのを見たからだ.私たちは,ヒルダ王女とミンウに会いに,作戦会議室の扉をたたいた.すると,扉の向こうから,どうぞ,と声がしたので,私たちは静かに入っていった.フリオニールがヒルダ王女に対して言う. 「あなたが私たちを助けてくれたのですね.ありがとうございます.ヒルダ王女・・・,ぶしつけではありますがお願いがあります.私たちを反乱軍に加えて下さい!」 だけど・・・ヒルダ王女は,「それはなりません」と答えた.それにはちゃんとした理由があって,私たちがまだ戦いに慣れていないから,とのことだった.そして,自分の町へ帰りなさい,とも言った.だけど私は納得がいかなくて, 「私たちの家はもう無いんです.帝国軍の攻撃を受け,両親も亡くしました.みんなが故郷を奪われたのに対し戦っているところを見ながら,アルテアでのんびりと暮らすことなんてできません.ですからヒルダ王女,私たちを反乱軍に加えて下さい!」 と熱弁をふるった積りだったけれど・・・. 「あなたはマリアといいましたね.『アルテアでのんびり暮らす』とあなたは言いましたが,それは合言葉ありきの話です.その言葉は,【のばら】です.よく覚えておくのです.【のばら】はフィン王国の紋章です.フィン王国・・・.先の襲撃で捕らわれた人々がフィンに集められ苦しんでいるという噂も耳にします.あなたの兄・レオンハルトも行方知れずでしたね・・・.もしかするとフィンの町に捕らえられているかもしれません.ただ,今ではフィンもモンスターで溢れかえっている危険な町です.ここを出る前に,ミンウにも話を聞いてみると良いでしょう」 と返された.そして,ヒルダ王女の言う通り,ミンウに話しかけると,彼はまずフィンへ行くことから全てが始まる,ということを言ったのだ. 反乱軍のアジトから出た私たち. 「これから,長い長い旅が始まるのね.まずは反乱軍に加えてもらわなくっちゃ」 私がそう言うと,フリオニールが答える. 「そうだな,マリア.まずは加えてもらうこと.それからが,長い長い旅の始まりだ.みんなでレオンハルトを捜しに行こう!そして・・・故郷を・・・取り戻そう!」 …私たちは,まずアルテアにいる人たちから情報を集めることにした. 2. アルテアの町を歩いてみて,気付いたことがあった.それは,町の人は皆,穏やかな生活をしている,ということ. 「辺境の町・アルテア」・・・.この町が辺境だということをミンウに教えられた私たちは,このアルテアの町を隈なく歩き,情報をかき集めようとした.そうして気付いたことが,この町の人の穏やかさだったりするわけで・・・.外部からアジトとして自分たちの町が拠点にされても意に介さないところが,やっぱりこのアルテアの町人たちの性なんだろうなあと思う. 「反乱軍のアジトで聞いた話なんだが」 フリオニールが話し始めた. 「帝国軍が滅ぼしたというカシュオーン王国の第二王子であるゴードンという人物がこのアルテアのどこかに身を潜めているらしいんだ」 そこで,ガイが, 「王子らしい人 見つけた おれ」 と言ったので,私も話に参加しようとした.そうよ,いつまでもビクビクしてばかりの意志の弱い女ではいられないわ!この旅の始まりから,意志の強い女になってみせるんだから!私の言うべき言葉は,「ガイ,その王子はどこに?」だ.「ガイ,その王子はどこに?」ね.OK,よし,これくらい練習したんだからもう言っても良いわよね. 「ガイ,その―」 「王子らしい人 いた アジトの裏に」 だけど,私の言葉は遮られ,更に私が言う間もなく, 「なんだ!灯台もと暗し,ってやつじゃないか!早速行ってみよう,アジトの裏に」 フリオニールがそう言い,私たちの行動はとんとん拍子に進んでいった. 私・・・マリアは,一人の人を相手にする時は会話が弾むんだけど,二人以上の人を相手にする・・・もしくは一緒に行動する時は,幼い頃からどうしていいか分からずにいた.ママごとだって,兄さんやフリオニール,ガイ一人だけを相手にするのなら,よく遊べたものだけど,そこにもう一人が入ってくると,もう手のつけようがないくらい,精一杯だった.今の私は,当時の私と同じで,もしかすると,対人関係に難あり?ひょっとするとコミュ障なのかもしれない. そう考えてばかりいると,ゴードン王子の言葉を聞き漏らしてしまっているかもしれないと思い,私は王子の言葉に耳を傾けることにした.すると・・・. 「そうか.君たちは帝国との戦いに志願したのか.私はヒルダに拒絶されるのが怖くて戦いに志願できずに,こんなところでうじうじしているんだ.笑ってやってくれ・・・」 私は一呼吸置き,そう言う王子に向かってこう話した. 「いいえ,ゴードン王子.あなた様を笑い飛ばすことなど私たちには到底できません.カシュオーンとフィンは同盟を結んだ国同士ではありますが,互いの距離は相当遠いものだと聞きます.ヒルダ王女への想いだけでここ辺境の町アルテアへ来るだけの気力だけでも称賛されるべきだと思います」 王子は一言, 「・・・ありがとう」 と言っただけだった.私はやっぱり一対一で話をするには問題ないんだけど・・・.どうしても二人以上になると・・・. 「・・・マリア,行くぞ,フィンへ」 「マリア 励ますの うまい」 ちがうの,ガイ・・・!そうじゃなくってね・・・! アルテアの町で装備を一式揃えた私たちは,いよいよフィンへ潜入することになった.フィンへ向かう途中,森に囲まれた村・ガデアにて旅の疲れを癒し,そしてアルテアから出発して何日が過ぎたことだろう,森を脱した私たちは,大きな湖の向こうに故郷・フィンとフィン城があるのを認めた. 「見て!フリオニールにガイ!私たちの故郷よ!湖の反対側からはこう見えていたのね・・・」 私は思わずそう叫ぶ. 「本当だ,マリア!あれが俺たちの故郷なのか・・・?」 と言うフリオニール.そしてガイは, 「湖 周らないと フィン 辿り着けない」 と言った.さすが幼い頃森で狼に育てられていた経歴がある人の言うことは違うわね.私たちは,また数日を湖を周るのに費やし,ようやっとフィン王国に辿り着いた. …フィンの町は,私たち三人が予想していた通り,戒厳令が出されていて,重苦しい雰囲気が漂っていた.城下町のなかは,帝国軍の兵士たちでいっぱいで,とても私たちが太刀打ちできる相手ではなさそうだった.私は,声を潜めて,フリオニールに訊いてみた. 「ねぇ,これからどうするの?町は兵士でいっぱいだし,単独行動もできないわ」 すると彼は, 「まず,情報収集の基本のパブへ行ってみることにしよう.何かが掴めるのかもしれない」 と私と同じように声を潜めて返した.そこで私たちはパブへと訪れた.フリオニールはパブへ入るなり, 「俺とレオンハルトでよくこの隠し扉のなかに入ってお互いの夢を語り合ったものさ」 と言いながら,その隠し扉とやらを開け,隠し部屋の奥へと入って行った.もしかしたら,この奥に兄さんがいるかもしれないと言うのね・・・.だけど・・・,隠し部屋の奥にあるベッドには,一人の戦士が横たわっていて,言うことには, 「俺を帝国に売るのか?それならせめて殺してからにしてくれないか.生きたまま捕まりたくない・・・」 …兄さん,レオンハルトとは違った声だった. フリオニールが合言葉【のばら】を言うと,その戦士は,ゆっくりと話し出した. 「そうか・・・君たちは反乱軍の一員だったのか.私の名はスコット.カシュオーンの王子だ」 そこでフリオニールは驚き, 「あなたがカシュオーン第一王子のスコット様なのですか?!討ち死になさったと聞きましたが・・・良かった!生きていらしたのですね」 と言った.スコット王子は続ける. 「ああ.だが私ももう長くはない・・・.反乱軍である君たちに頼みがある.弟のゴードンに・・・伝えてほしいことがある.もっと自分に・・・,自信を持て,と」 なるほどね・・・.やっぱり私の言った通り,ゴードン王子には素晴らしい気力があるのよ.そこで私が,「その他に伝えることはありますか?」と言おうと思った.一回練習したから大丈夫よね. 「その他に―」 「それから,ヒルダに愛している,と・・・.」 そこでまた私の言葉は遮られ,スコット王子とフリオニールのやりとりが始まった.王子は続ける. 「・・・いや,もうすぐ死ぬ人間の告白など・・・彼女を・・・,悲しませるだけだ・・・」 フリオニールは王子に訊いた. 「あの・・・レオンハルトという者をご存じありませんか?」 と.でも王子は・・・. 「生憎だが,役に立てなくてすまない・・・.その代わりにこれを持って言ってくれ.私の・・・『リング』と・・・,カシュオーン王家に伝わる書物の冒頭部分を書き写したもの・・・『世界年譜序文-冥界王-』だ・・・.長く話したせいか大分疲れてしまった・・・少し・・・眠らせてくれないか・・・」 と言って,そのまま息を引き取ってしまった・・・. フィンからアルテアまでの帰り際,コテージのなかで私たち三人は,それぞれ言葉を交わしていた. 「フリオニール,そのリング,綺麗ね」 「ああ・・・」 「どうしたの?顔色悪いわよ?」 「すまないマリア,心配をかけてしまって・・・.このリングの他にもう一つ貰ったものがどうしても気になって・・・うずうずしているんだ」 「うずうず?」 「ああ.何か末恐ろしいことが書いていそうな予感がして・・・.でも大丈夫だから.アルテアに帰ったら,マリアはゴードン王子にスコット王子からの言伝てを頼む.俺とガイは,ヒルダ王女にスコット王子からの形見の品を渡してくるから!」 そういったやりとりがあった日から数日後,アルテアに戻り,フリオニールから言われたようにして,私はゴードン王子に言伝てをし,アジトにてフリオニール,ガイと合流した.私たちを前にヒルダ王女は, 「フィンに潜入して生きて帰ってくるとはなかなか腕が立つようですね.私はあなた方の力を見くびっていたようです.是非とも反乱軍の一員として力になって下さい.魔金属である【ミスリル】を手に入れるために強い戦士を必要としているのです」 こうして,私たちは,反乱軍の一員として迎えられることになった. 3. 反乱軍の一員として,改めてヒルダ王女や白魔導士・ミンウに迎えられた私たち.そこで早速,ヒルダ王女は私たち三人に任務を与えた.彼女が言ったことを要約すると・・・.先のフィン襲撃で我々が負けてしまったのは,魔金属・【ミスリル】で作られた武具を装備していなかったためだという.【ミスリル】の武具を装備した帝国兵たちに敵うはずもなくここアルテアに逃げてきた,とも言った.そして,【ミスリル】についてだけれど,その魔金属について調べさせている,サラマンドという町に住む反乱軍の諜報員・ヨーゼフからの音信が不通なので,様子を見に行ってきて欲しい,とのことだった.更に,あなたたちの助けになるでしょう,と言って,私たち三人に加えて,ミンウも同行することになった. ミンウは,改めて私たちに自己紹介をして,作戦会議室のヒルダ王女のすぐ横でサラマンドへの道程を分かり易く説明してくれた.そこへヒルダ王女も話に入ってきて,また新しい情報を教えてもらった.彼女の話によると,先のフィン襲撃で帝国側も手傷を負っているらしく,それを補うためにバフスクという町で沢山の町人や奴隷を使って【大戦艦】と呼ばれる【飛空船】を建造中なのだという.そしてミンウからも新しい情報を教わった.彼は【飛空船】について色々と話した.昔,フィンには「白騎士団」というものが存在し,そのリーダーはシドと言う男だったけれど,天翔ける【飛空船】の建造に夢中になってフィンから去って行ってしまったこと.そして今現在そのシドはポフトという町で運輸業を営みつつ【飛空船】の研究に没頭していることを話してくれた. フリオニールとガイは,うんうん,と頷いていて話の内容をきちんと把握しているようだったけれど,私はといえば・・・,サラマンドへ行く目的を理解するので頭がいっぱいいっぱいだったのに,【大戦艦】,バフスク,が出てきた辺りで頭のなかがパンクしてしまいそうになった.とにかく,今の私たちの目的はサラマンドへ行ってヨーゼフという人の様子を見に行ってくることよね?それでいいのよね?反乱軍のアジトを出た後,私は自分たちの目的がなんなのかを確認するためにフリオニールに一応訊いてみた.ミンウにはあまり聞こえないように.だって,折角反乱軍の一員として認めてもらったのに,「君はもう目的を忘れてしまったのか?使えないやつだ」と思われるのはイヤだから.フリオニールにそのことも打ち明けてみたら彼は, 「そんなことはないんじゃないか?仲間一人一人がちゃんと目的を理解し合っているのを確認するのは大事なことだと思う.よく言うだろう?『聞くのは一時の恥 聞かぬは一生の恥』だって.それにマリアが今,目的を確認しに訊かなかったら,俺も目的が分からなくなっていたところだったよ.【大戦艦】のことで頭がいっぱいで・・・」 そうだったのね,フリオニール.あなたはもうそんな先のことまで考えていたというのね.そこで不意に誰かが後ろから私とフリオニールの肩をくっつけるように抱えたと思うと, 「みんな 目的 わかる これ 大事」 と声がした. 「ガイ・・・ありがとう」 と私が返す. フリオニールはどういうわけか少し照れくさそうにしていた. ミンウはというと,こんな私たちを見て,優しく笑っていた.私,こういう雰囲気・・・ほのぼのとした感じ・・・が大好きよ. ミンウが持っているカヌーで,パルムの町へ目指し,湖を渡っていた.私たち四人は,それぞれ別の行動をしている.フリオニールはずっと湖の向こうを見ているし,ガイはカヌーを漕いでいる.ミンウは,じっと目を瞑ったままだ.瞑想でもしているのかな?私はというと,やっと使い慣れてきた弓の手入れをしていた.そうしながら,湖面を見てみた.太陽の光が水面に反射されてキラキラと光っている.私は心の中で呟く.「きれいね・・・」と. 湖に囲まれた,私たちの故郷,フィンでは今,なにが起こっているんだろう. あの日,私は朝早くに行われる王国主催の弓技大会予選に出るために早く寝ようと思ったんだ.そうしたら寝る前に母さんが私の部屋に入ってきて,こう言ったんだっけ. 「マリア.あなた,一体どうして弓に興味を持ち始めたの?レオンハルトやフリオニールに影響されて?あの子たち,血気盛んなんだから・・・.母さん,あなたにはガイのようにじっとして落ち着きがあって優しい人になって欲しいと思うの」 と. 「母さん.私は,もう自分の人生を他の人に決められたくないの.父さんや母さんの言うことは分かるけど,私は私が決めた道を歩くことにした,それだけよ.弓に興味を持ち始めたのは,いつもの狩りに役立つかなって・・・」 と私は返すと,母さんは寂しそうに部屋から去っていったっけ.これが,私の両親との最後の別れになってしまった・・・.私はそのまま寝て,次に目が覚めた時には,家が全焼した後だった.奇跡的に助かった私は,机の上に弓と一緒になって残されたメモを見つけ,読んでいく内に大粒の涙を流したんだ.メモには, 『沢山のパラメキア帝国の軍隊が来て,女子どもを渡さないと家に火を着ける,と言われたわ.マリア,どうやらあなたの言っていたことは正しかったみたいね.あなたはあなたの思うがままに生きなさい 母さんより』 と書かれていた. あの日から・・・私は目を開けるのが辛かった.だってまた帝国軍が襲ってきて私の周りからまた誰かがいなくなると思うと・・・夜も眠れなくなって・・・ 水面からの光が原因なのか,一時の間,私はフラッシュバックしていた.フリオニールが,私に話しかける. 「マリア.どうしたんだ?気分でも悪いのか」 私は答える. 「ええ,ちょっと『あの日』のことを思い出してね・・・」 「そうか・・・『あの日』から全然眠れていないものな・・・マリアは」 とフリオニールは言い,ミンウにどうにかして欲しいと頼んだ.すると,ミンウは, 「それならば,この『スリプルの本』を読みなさい.読んでいくと,誰でも,海より深く眠れる本だ」 私はミンウからその本を受け取ると,早速読み始めた.・・・すると,彼が言った通り,私は微睡という名の流砂に飲み込まれていった. 4. ハッピーバースデー トゥー ユー♪ ハッピーバースデー ディア マリアー♪ 「ねえマリア!ぼくといっしょにおどろうよ!」 「なにを言っているんだフリオニール!マリアはぼくとおどりたいにきまっているだろう?」 「なにおう?ぼくたちだってマリアのたんじょうかいによばれたんだぞ!」 「み・・・みんなおちついて・・・」 この後,私と誰が踊るかで町の男の子同士で取っ組み合いのケンカが始まったんだっけ.私はというと,本当は兄さんと踊りたかったんだっけか・・・.更にその後,結局私は一人ぼっちになってしまうことになる.自分の誕生会なのに. 「マリア.着いたぞ,湖の向こう側に」 と言って,私を夢から覚まし,フリオニールが起こしてくれた.彼は続ける. 「この先,しばらく歩いた後にパルムという町があって,そこからミンウが言っていた,シドがいるポフトの町までの定期船が出ているらしい」 「ガイとミンウはどこへ行ったの?」 私がそう言うと, 「先にパルムの町に行って待っててもらっているよ.定期船の運賃がもっと安くならないか交渉中でもある」 とフリオニールが言ったので,私は急いでカヌーから降り,彼と一緒にカヌーを折りたたみ,パルムの町まで急いだ.反乱軍に入って,すぐ足手まといになった気がする・・・.もっとがんばらなきゃ・・・! パルムの町へ着いた私たちは,ガイとミンウに合流」し,早速定期船に乗せてもらった.船に乗っている間,弓の手入れを完璧にやり遂げた私は,私たち幼馴染三人に新たに加わったミンウに積極的に話をしようと,彼に声をかけた. 「ミンウ様.あなたが担いでいるその円筒の形をしたものはなんですか?」 私がそう尋ねると,ミンウは私の方を振り向き,こう話し始めた. 「マリアか.ミンウ,と呼んでくれても構わない.この筒には【反乱軍の旗】が入っていてね.この先の旅路で役に立つかもしれないと思い,持ってきたんだ」 私は更に,その【反乱軍の旗】について尋ねると,ミンウはまた続けて話した. 「この【反乱軍の旗】には重大な意味が込められていてね.私の出身地であるミシディアの古の伝説から来ているものなのだが・・・.聞きたいか?」 私は,はい,と答えた.そうすると,ミンウはゆっくりと話し始めた. 「昔々,戦争によって離れ離れになった織物屋を営んでいた夫妻がいた.夫は戦場へ兵士として戦いに出て行かなくてはなり,妻は夫の帰りを待つことになった.だが,戦争が終わっても,夫は帰って来なかった.妻は,自分の町に住む人々にその不条理を訴えた.すると,町人の多くの人が彼女に賛同の意を示したのだ.何故,戦争が終わったのに愛する人を帰してくれないのか,と.そこで民衆は一念発起し,その妻・・・女性を先頭に,彼女が独自に織った旗を掲げ,国に陳情に出たのだ.これが,ミシディアに伝わる,『民衆を導く健気な女神』伝説だ.その時に使われた旗が,今正に君たちが目にしているものなのだよ.この話は伝説ではなく,きちんとした史実なんだ.フィンで反乱軍を立ち上げた時,私はこの旗を,【反乱軍の旗】にしたらどうか,とヒルダ王女に告げた.すると,彼女は,快諾してくれた」 【反乱軍の旗】をいつの間にかガイとフリオニールも加わってまじまじと見る私たちに,ミンウはそう語ってくれた.旗は,よく見てみると,タペストリー調になっていた.要するに,旗一枚に,一つの物語が織ってあった.始めから途中までは,夫への想いが込めてあったのか,その夫妻の生活風景が織られていた.そして最後に織られていたのは,炎をまとった鳥だった.不意に,フリオニールが 「この一番最後の鳥・・・のようなものは・・・」 と言ったので,ミンウはこう返した. 「火の鳥・・・『転生の炎』という術を使うと言われる,不死鳥・フェニックスのことだ.私もミシディア出身だというのに,至らぬところがあるのは許してほしい」 フリオニールは慌てて,「いえいえ」と言ったけど・・・.要するにミンウはフェニックスに関してよく知らないところがあるのね.そこで,ミンウが唐突に, 「フリオニール.君にヒルダ王女からの伝言がある.『率先して仲間を引っ張っているあなたはリーダーの才覚があるのでしょう.私もあなたから見習うべきところがあるようです.称賛すべきものです』だそうだ」 と言った.言われたフリオニールは,照れくさそうに,「俺はそんな・・・」と言っているかのようだった. そうこうしている内に,私たち四人を乗せた船は,港町ポフトに着いた.ええっと,確かこの町には,元白騎士団のリーダーだったシドという人物がいるのよね.ポフトの町のパブに,彼,シドはいた.白騎士団のリーダー・・・.そういう肩書きを聞くだけでは,すごく強くて頼りになりそうなイメージだけど・・・.実際のシドは,そういうイメージとはかけ離れていて,第一印象は"飲んだくれの中年男"みたいな人だった.とても,ミンウが言っていたように,きちんと運輸業に全うとしていて,【飛空船】の研究もしている人とは思えなかった.けれど,第一印象はアテにならない場合ってよくあるから,私はもっとシドのことを知ろうと直接彼に話しかけた. 「あの・・・シドさん?【飛空船】って一体どんな仕組みで動いているんですか?」 と.すると,シドは,よくぞ訊いてくれた!と言わんばかりの顔をしてパブの奥から丸めた紙を数本ばかし持って来ると,机の上にそれらを広げ, 「よくぞ訊いてくれたな,姉ちゃん!近頃は子分ですら俺の研究三昧に冷たい眼差しを向けるものだから,滞っていたんだよ!」 と言った.そして,ああだこうだ机の上に広げた【飛空船】の図面を指差されながら彼から説明を受けることになった.ミンウは,やれやれ,という態度をとっていたし,フリオニールとガイも,その様子を見ていて,少しばかりか引いている感じだった.・・・あれ?私,また余計なことしちゃった?もしかして・・・.また足手まといをした・・・とか? やがて,シドが,声のトーンを落としながら喋り出したので,私は,シドの話を聞くのに集中した. 「・・・それでな,この最新型の【飛空船】には【エクトラズム】という油が必要なんだが・・・.こればかりは,俺も手が出せねぇ.なにせそれが採れる場所といったら・・・セミテの滝の洞窟なんだからよ.今は帝国の領地内だ」 私は一応尋ねてみる. 「シドさん?その【エクトラズム】って外見はどんな風なものなんですか?」 すると,シドはこう答えてくれた. 「洞窟の奥の泉から,水と一緒に出て来る蛍光するものさ.油だから,水と分離していて採り易い.・・・ん?なんだ姉ちゃん,あんたまさかそれを採りに行って来てくれるって言うのか?」 「はい!困っている人を助けたいですから」 と私は答えたけれど,シドは, 「馬鹿なことは言いなさんな.姉ちゃん一人で帝国軍領地へ入るのは,わざわざ死にに行くようなもんだぜ」 「でも!」 私は反論しようとした.だけど・・・. 「マリア.そこまでにしておきなさい」 ミンウに止められた. …ポフトの町の宿にて,私はミンウから叱りを受けていた. 「いいかい,マリア.私たちは一番に成すべきことがある.それが何であるか,君にも分かるだろう?」 「はい・・・.サラマンドへ行って,ヨーゼフという人の様子を見に行って来ることです・・・」 「そもそも我々反乱軍は,祖国を捨てたあのシドを快しと思っていない.ましてやその彼から,今回の任務とは関係のないことまで引き受けてしまって・・・.もしそれが失敗したとしたら,誰が責任を取るというんだ?」 私は「すみません・・・」と言うしかなかった.結局,私は反乱軍の足手まといでしかないというのね・・・.私は宿屋のロビーから自室へ戻った.ややあって,私の部屋のドアをノックする音がしたので,どうぞ,と言うと,フリオニールとガイが入って来た.フリオニールが開口一番に言うことには, 「マリアが今日・・・シドに色々訊いたこと・・・間違いじゃなかったと思うんだ.その・・・ミンウに叱られていたところを見てしまったんだが・・・.俺たちも,マリアのことを,手助け・・・いや,力になりたいと思っている.だから,そんなに落ち込むことは,ないと思うんだ」 と.続けてガイも, 「おれたち 仲間 だから 協力する」 と言った.そこで私は,前々から思っていたことを打ち明けてみた. 「・・・ねぇ,フリオニールにガイ.私って反乱軍の一員として,足手まといというか・・・活躍できていないと思ってる?」 と.すると,意外にもフリオニールからすぐ返事が返ってきた. 「活躍できていないも何も・・・俺たちはまだ第一の任務を果たしていないじゃないか?」 「でも!このポフトに来るまでに私,あなたたちやミンウに沢山迷惑をかけてしまったわ!」 ガイが言う. 「マリア それ 『迷惑』 言わない」 「え?それどういう意味,ガイ?」 「誰でも 良いところ 良くないところ ある だから そこ おぎない合って 助け合って 仲間は生きていくもの おれ むかし そう 教わった」 「なるほどな」 とフリオニールは言う. 「マリア.ガイの言う通りだよ.人は迷惑をかけ合って生きていく生きものなんだ.そこをおぎない合えるか.助け合えるか.だから仲間ができるんだ.側にいられるんだ.・・・迷惑をかけない人なんて存在しないんだよ.だから・・・もう『足手まとい』だなんて悲しいことは言わないでくれ・・・」 そう言って二人は寂しそうに私の部屋から去って行った.私はその時,デジャヴを感じた.これは・・・!「あの日」の夜と状況が似ている!このまま目を瞑ったらまた私は大切な人を失ってしまうというの?お願い,それだけはやめて!フリオニールにガイ,もう一度私の部屋に来て,せめて笑顔で帰っていってよ! …そう言って大声で泣きじゃくる私の声を聞いたのか,フリオニールとガイがもう一度私の部屋に戻って来た. 「どうしたんだ?!マリア」 「『あの日』がまた来ないかって・・・怖くて怖くて・・・」 「おれ ミンウ 呼んで来る」 「マリア,もう怖がらなくても大丈夫だ.『あの日』のことを思い出したのか?ここポフトは,元白騎士団のリーダーのシドがいる町だ.さっきこの宿に手紙が届いてな.差出人はシドからで,なんでも『俺の目の黒いうちは帝国軍には入らせねぇ!』だそうだ.だから,安心しても良いと思う」 「ありがとう,フリオニール・・・」 ガイによって呼ばれたミンウは,その手紙を読み, 「・・・彼のことを少し見直したよ」 と言ったそうだ. 翌日,何も起こらずに平凡な朝を迎えられたことに感謝した私は,仲間たち三人に遅れをとらせまいと急いで準備をすると,サラマンド行きの【飛空船】に乗り,そこに降りた.サラマンドの町に着いた私たちは,ヨーゼフに会いに来た,と町人に言うと,その町人は,彼の家へ案内しれてくれた. 5. サラマンドの町は,町全体が雪で覆われていた.町の人にヨーゼフが住んでいるとされる家に案内されて行く間,私たち三人,フリオニール,私,ガイは,「雪」というものを初めて見て,興奮していたんだった. 「見て!フリオニールにガイ!雪化粧ってこういうのをいうのね・・・」 私がそう言うと,フリオニールは, 「ああ.確かに綺麗だな・・・.それよりマリア,寒くないか?」 と言ってきたので,私は答えた. 「大丈夫よ.実はヒルダ王女から事前にサラマンドについて色々聞いたから・・・.携帯用の防寒具をあなたたちの分まで一式持ってきているわ」 「さすが マリア しっかり者」 ガイったら・・・.・・・でも,「しっかり者」?本当にそうなのかな,私・・・. ギュム,ギュムと雪を踏みしめる音を立てながら私たち四人は,やがてヨーゼフの家の前までやって来た.そこでミンウが, 「反乱軍の参謀,ミンウですが」 と言った.けれど,家のドアから人が現れる様子もなく,ただ一言,「合言葉は?」と返ってきたので,ミンウは,【のばら】です,と言った.それでやっと玄関の扉を開けてくれるのかと思いきや,その家の主は,合言葉だけでは信用できんな,と言い,加えて,何か反乱軍であるという証拠の品を持っているのなら家に入れてやろう,と言った.私はハッと思い,ミンウに彼が担いでいる【反乱軍の旗】を指差した.ミンウは,分かっている,と呟き, 「証拠の品ならあります.【反乱軍の旗】です」 と言うと,いきなり玄関のドアが開き,緑色のコートを着込み,つるっ禿の逞しい男の人が出てきた.そして開口一番に, 「おお!これはこれは,ミンウ様ではありませぬか!ささ,どうぞなかへ.・・・そちらの方は?」 と言って私たちの方へ目を向けると,ミンウは答える. 「新しく反乱軍へ入ったフリオニール,マリア,ガイの三人です.どうぞ歓迎してあげて下さい」 と.結局私たちは,その男の人・・・ヨーゼフに案内されて,彼の家の中へ入っていった. ミンウは,早速【反乱軍の旗】を机の上にバサッと広げると,ヨーゼフを納得させた.そしてそれ以来,ミンウは何故か無口になってしまったのだ.ヨーゼフも黙っている.これは一体,どういう状況だというの?さっぱりだわ!やがて,フリオニールが,なるほど,分かった,と呟くと,ヨーゼフに向かって, 「あなたが反乱軍の諜報員であるヨーゼフさんですね?」 と言うと,彼らのやりとりが始まった. 「いかにも」 「あなたはヒルダ王女から【ミスリル】の調査をするようにと命を受けていたはずです.・・・音信が途絶えたのは何故でしょうか?」 「それは言えん・・・」 「そうですか・・・.それでも,あなたが生きていて良かったです.我々はあなたが帝国軍に命を奪われたのではないかと心配だったのです」 「・・・【ミスリル】のことだが・・・少しだけなら情報を教えてやろう.セミテの滝の洞窟で,この町の男たちが働かされている.【ミスリル】の採掘に皆疲れ果てているようだ.彼らを助け出すことができれば,お前たちは堂々と反乱軍の一員だと名乗れるだろう.そして,お前たちのことを信用してやろう」 これってもしかして・・・私たちのことを試そうとしているの・・・?ガイにそう訊くと, 「フリオニール 悟った テストなう と」 やっぱりそうだったのね・・・.と同時に,私は一つ思うところがあった.それは,【ミスリル】が採れる場所と,【エクトラズム】が採れる場所が一致しているということと,決して私がシドに色々訊いたのが間違いででなかったということを,ミンウに伝えたかったという思いだった.そしてそれをミンウに伝えると彼は, 「・・・偶然なこともあるものだ」 と言っただけだった.なに,その答え方?!私たちが一生懸命シドやヨーゼフから聞き出したことを,「偶然」という一言で一蹴するなんて酷いと思わない? ミンウが【反乱軍の旗】をしまい,セミテの滝へ向かおうとしていた時,ヨーゼフが, 「気を付けて行って来るのだぞ」 と声をかけてくれた.それから私たちは十数日をかけて,サラマンドから西部へ進み歩き,今度はカヌーに乗ってまた何日も,狭い水路を東へ逆戻りし,そして遂にセミテの滝の洞窟まで辿り着くことができた.早速洞窟の中へ入ろうとする私たち三人を,「待つんだ」とミンウが止め, 「ここからはパラメキア皇帝が魔界から呼び出したという魔物が潜んでいるところだ.無用な戦闘は避けること.回復役は私が引き受けるが,受けた傷は基本自分で治すことも忘れてはいけない」 と注意を促してくれた.そうして,私たちの初めての敵陣攻略が始まった. フリオニールは剣を,私は弓を,ガイは斧を,そしてミンウは杖を携え,どんどん地下へと進んでいった.洞窟内はなるほど,さすがに魔金属・【ミスリル】が採れるだけのところはある.何ヶ所に渡ってキラキラ光る水晶が岩肌からその有様を見せていた.・・・私たちは,更に洞窟の奥へ進んでいった.すると・・・.スコップやつるはしなどの道具が見えたかと思うと,洞窟内でもちょっと開けた場所に数人の男の人たちが採掘作業をしているのを見つけた. 「皆さん!我々は反乱軍の者です!もう大丈夫です,もうじきここは帝国の陣地ではなくなります.・・・ここの指揮官はどこにいるのですか?我々がなんとか打ち倒してみせます!」 とフリオニールが叫ぶと,それまで採掘作業をしていた男の人たち・・・と一人の女の子が出て行こうとした.私はその女の子を引き止め,話しかけた. 「ねぇ,あなた,どうしてこんなところにいるの?」 すると,女の子は振り返り,私の言葉に答えた. 「大きな帽子を被った怖いおじちゃんが・・・私に言ったの.『お前はヨーゼフんとこの娘だからなぁ・・・人質になってもらうぜ』って・・・.それで私怖くて・・・」 私は彼女と背丈を同じくし,優しく話しかけた. 「私はマリア.あなたのお父さんの味方だから,怖がらないでね.もう大丈夫だから,安心して良いわよ」 と.女の子はぱあっと笑顔になり, 「ありがとう,お姉ちゃん.私,ネリーっていうの!」 私は,そう!,と返した.そして彼女らが地上に戻って行くのを見送った後,仲間の三人に遅れを取らすまいと急いで後を追った.・・・そして・・・.フリオニールが,「来たか,マリア!」と小声で言うと,ミンウが岩場に隠れるよう指示を出した. 「あの帝国兵・・・サージェントは,今まで相手にしてきた魔物とは比べ物にならないくらいの強さだ.みんなの力を合わせて立ち向かわないと,勝つことは到底不可能だろう」 と同じくミンウが言う.そして私たちは,ミンウの合図とともに,一斉に行く手を阻むサージェントに立ち向かっていった. … サージェントを倒した私たちは,奥まで進んでみると,確かにシドが言っていた通り,この洞窟の奥に泉があるのをみつけた.私は,取り敢えず【エクトラズム】を採ろうと,泉に浮かぶその油を一杯だけ掬ってみた.なるほど,これもシドが言った通り,蛍光・・・仄かな光を発している.他の三人は,【ミスリル】を探しているみたいだけど・・・.どうやら見つからないみたいだ.私が【エクトラズム】を掬い,バケツに入れていると,泉の最深部から煌めきを感じた.私は腕をまくって,その煌めいたものを泉の最深部から取り出した.これは,青みを帯びた金属・・・ひょっとして,これが【ミスリル】? 6. 私は,その青みを帯びた金属を両の手で持ち上げたまま,少しだけ意識が飛んでいた.・・・フリオニールに話しかけられるまで. 「マリア!それってもしかして・・・!【ミスリル】か?!」 私は意識を取り戻す. 「ええ,多分,【ミスリル】に間違いないわ.そうでしょ?ミンウ」 ミンウは答える. 「ああ,そうだな.その青さといい,女性である君でも軽々とそう持ち上げられる軽さといい,なによりその金属から放つ魔力はすさまじいものを感じる.【ミスリル】だと断定してもいい.マリア,よくやったね」 ああ・・・.私,初めてミンウに褒められた.良かったわ・・・.続けてガイが, 「マリア 大活躍なう」 と言ってくれた. …これって,私はもっと自信を持っていいよってことなのかしら?だって,みんな私のことを褒めてくれるから・・・.そうしたらこの場所に,なにか記念になるものを残しておきたい気になるじゃないの.洞窟の壁に文字を刻むとか?それじゃあなんだか地味よね・・・.もっと,こうパッと目立つような何かを・・・.・・・.あ!そうだ,あれをここに設置するのはどうかしら・・・.私はミンウに尋ねた. 「あの・・・ミンウ,ぶしつけではありますが,あなたが担いでいる【反乱軍の旗】をここに設置してもよろしいでしょうか・・・」 恐る恐る訊いてみたので,最後の方がほとんど聞き取りにくかった・・・と思ったけれど,ミンウは意外にも, 「ああ,いいと思う.反乱軍がここまで来たという帝国軍への見せつけにもなるだろうから」と許諾の意を示してくれた. セミテの滝の洞窟は,その最奥部にて,私たち四人は,【反乱軍の旗】を設置しようとしていた.泉の前に,まず旗を立てるための三脚を用意して・・・と.フリオニールが言う. 「しかしこんな大事な旗,こんなところに設置しても良いものなのですか?」 「ああ.旗は数枚あるから大丈夫だ」 とミンウが返す.みんなでこうやってなにかに一緒になって作業していると・・・色々思い出すわね・・・.無言状態になるのを心配した私は,呟いてみた. 「私・・・なんか『あの日』の前のことを思い出してきたわ.兄さんと私とフリオニールとガイと一緒にいた頃の話よ」 すると,フリオニールは,「ああ.あの頃は良かった・・・」と話に乗ってくれそうだった.ガイも,「あの頃 まだ 幸せ」と返してくれたので,私はゆっくりと話し出した. 「ねぇ,二人とも.あの頃は,よく四人で一緒に遊んでいたわよね.こうやって,丸くなって・・・.まるで,公園の砂場でお城をみんなで一緒に造ってた時みたい.他にも色々作ったわよね?懐かしいわ・・・.だけど・・・もうあの日々は二度と帰ってはこないのね・・・」 私は,これ以上続けると涙が出てきそうだっただったので,話題を変えようと,一生懸命次の言葉を探し,思いつき,そして言おうとした.でも・・・. 「あ,そう―」 「ガイ.そういえば君にもヒルダ王女からの伝言がある」 私の言葉は,ミンウによって遮られてしまった.その一連の様子を見ていたのかフリオニールは,私にこう話しかけてきた. 「なぁ,マリア.マリアって度々誰かに言葉を遮られているよな.本当に最近のことだけど.一体どうしてなんだろうな?・・・・・・・・・悩んでいるんだろう?一人の時はいいんだけど,二人以上の人とどう接していいか分からないって」 …私は正直,彼の言葉を聞いて,心を見透かされたような恥じらいと,分かってくれる人がいた,というような安心感を,激しく心の中で感じた.それと同時に,フリオニールという男性を見る目もなんだか変わったような・・・.そんな不思議な気持ちになった.こんな気持ちになったのは初めてで・・・.結局,私は「ええ・・・そうなのよ」とぶっきらぼうにしか答えることができなかった. 【反乱軍の旗】を無事設置することができた私たちは,ミンウのテレポでセミテの滝の洞窟の最奥部から脱し,瀕死状態のミンウをまだ熟練度が低い私のケアルで回復させた.そして,数日かけて,サラマンドへ戻った.ヨーゼフは娘のネリーちゃんが帰ってきたことで大変嬉しがっているようだった.特にネリーちゃんを励ました私に感謝の気持ちを伝えたいらしく,大きな手で何度も握手するのを求められた.彼が言うには,以前彼が私たちにとっていた態度は,私たちを試す積りだったのもあるけれど,ボーゲンという元フィンの伯爵で今は帝国の将軍に,脅されていた所以もあるらしい.ボーゲンって確か・・・スコット王子も話していたあのボーゲン伯爵のことかしら.あと,ヨーゼフはこんなことも教えてくれた.【大戦艦】は,【ダークナイト】が指揮官になってから建造が急速に進んでいるらしい,とのこと.もっともこれはフリオニールから後で聞いたことで,私といえば,ネリーちゃんの遊び相手になっていたんだけどね.そうなのね,帝国にはそんな強そうな人がいるのね・・・. ポフトの町へまた数日かけて戻った私たちは,シドに【エクトラズム】を見せた.すると彼は, 「すげぇや,よくやってくれたな姉ちゃん!これで俺の【飛空船】開発も一気に進むぜ.【大戦艦】なんかよりも遥かに高性能なやつをな!」 と私の手を握りながら大喜びしていた. パルムの町へ向かう船の上で,私たち四人は,早くも次にすべきことを話し合っていた.ミンウが言い出した. 「次の作戦のキーワードは,【ダークナイト】と【大戦艦】だ.皆,よく覚えておくように」 私は思い切って会話に参加してみた. 「その【大戦艦】って,バフスクで建造中なんですよね?では,【ダークナイト】もそこにいるということですね」 と.すると,ミンウは自然と頷き, 「ああ.そう言えるだろう.だが帝国軍も愚鈍ではない.我々が【ミスリル】を手にしたことで,もしかしたらサッと作戦を変えてくるかもしれない」 そういうやりとりを遠くから見ていたフリオニールは,私に「その調子だ マリア」というアイコンタクトをしてくれた.・・・多分,だけど. アルテアにある反乱軍のアジトへ戻って来ると,ヒルダ王女は,【ミスリル】をアルテアの鍛冶屋に持って行くことを私たちに伝え,そして,ミンウの予想通りの情報を私たちに提供してくれた.彼女が言うには,【大戦艦】の建造を指揮していた【ダークナイト】はかなり有能な者のようで,今は別の任務に就いているということ,そして【大戦艦】を破壊するなら今しかない,今すぐバフスクへ行ってそうして欲しい,とのことだった. そしてミンウから私たちの作戦報告を受けると,ヒルダ王女は,「まあ!」と叫び,私を自分のところへ来るように呼ぶと,握手し,抱きしめ,小さな声でこう言った. 「マリア,よくやってくれました・・・.実をいうと私もあなたと同じく,辛い立場にいたのです.ああ・・・,一度は王族の家になど生まれなければ良かったと思った時もありました.けれど,そのような思いを,誰に言うことができましょう?あなたも男の人ばかりのなかで懸命に生き抜いてきた女性なのですね.こうやって指示ばかり出している私などより・・・ずっと強い女だと思います.あなたのそんな強さを分けて欲しいくらいです.民を引っ張りきる力を.お互い,女同士,精いっぱい生きましょう.そして取り戻しましょう,平和を!」 私は,「はい!」と小気味よく返事を返した.そして,次の任務を果たすため,私たち四人は,ヒルダ王女に見送られ,アジトを去った. ねぇ,兄さん.兄さんは,今どこで何をしているの?私,兄さんとは別の意味で好きな人ができちゃった.でもそれは秘密.言ったらその人と喧嘩になるから.私たちが兄さんを見つけたら,笑顔で迎えてね.その代わりに,兄さんが故郷に帰って来たら,私たちが笑顔で迎えるから―. その時は,この世界にはきっと【反乱軍の旗】がいっぱい立ってて,平和な世界になっているに違いないわ―――! 戻る